2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21J12669
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
大崎 晴菜 岩手大学, 連合農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Keywords | 植物間相互作用 / 動物ー植物相互作用 / 群集生態学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題「植物群集の分布の多様性が植食者群集に与える影響」では、植物群集の空間構造がもたらす近隣植物同士の相互作用に着目し、植物の葉形質の可塑的な変異が節足動物群集に与える影響を明らかにすることを目的としている。 これまで、生物群集を評価する要素として最も一般的に扱われてきた種多様性や遺伝的多様性は、遺伝的に規定される生得的な特徴を評価するものである。これに対し、本研究において提案する分布の多様性は、環境に応じて柔軟に変化する表現型可塑性を評価できるという点において、種多様性や遺伝的多様性とは本質的に異なるものである。これにより、生物群集を生得的な特徴と表現型可塑性の2つの要素から多面的に捉えることが可能になる。 昨年度の野外調査では、多年生草本4種16株を用いて植物の配置と相互作用の有無を操作した。10日おきに植物群集の節足動物の種と個体数を記録した。本年度は、昨年度に実施した野外実験データを用いて、より詳細な解析を実施し、群集構造の変化要因の解明を試みた。全期間の累積データを用いたNMDS解析、時系列の効果を考慮したRDA解析、PRC解析を用いた処理間比較等の群集解析を実施した結果、植物群集の空間構造(散在的か集中的か)が節足動物の群集構造へ異なる影響を与えることが明らかになった。この傾向は、日数が経つことで顕著になった。それぞれの空間構造の条件で、特徴的な植食者種群がみられ、植食者種間相互作用への影響も明らかになった。 上記のことから、植物群集の種多様性・遺伝的多様性が同一であっても、植物群集の空間構造に応じて、異なる節足動物群集が形成されることが明らかになった。この現象は近隣植物間の相互作用に伴う葉形質の可塑的な変異が起因する可能性がある。これを明らかにするには、今後さらに、葉の成分の解析、各植食者種の摂食応答について研究する必要がある。
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Research Progress Status |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(5 results)
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[Book] 植物の行動生態学2023
Author(s)
種生物学会、山尾 僚、川窪伸光
Total Pages
224
Publisher
文一総合出版
ISBN
978-4-8299-6209-1