2021 Fiscal Year Annual Research Report
極薄フラックスを利用したカルコパイライト型リン化物薄膜のMBE成長
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21J12760
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
桑野 太郎 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Keywords | 化合物半導体 / 太陽電池 / 分子線エピタキシー / ラマン分光 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題で対象にしたカルコパイライト型無機リン化物半導体ZnSnP2のバンドギャップは、カチオン副格子上のZn/Snアンチサイト欠陥濃度の低下によって、計算では0.7から1.7 eV, 実験的には1.2から1.6 eVまで変化することが報告されている。従って、薄膜太陽電池への応用に向けては、この欠陥の濃度制御が可能な成膜方法が必要である。溶液成長法でバルク結晶を育成する際には、冷却速度によってZn/Snアンチサイト欠陥濃度が制御される。これを分子線エピタキシー(MBE)に応用し、極薄のSn液相からZnSnP2薄膜を析出させられないかと考えたのが、本課題の端緒である。本年度にはMBEにおける成膜温度の影響を調査した。その結果、成膜温度231~317℃の範囲において、Zn/Sn組成比が化学両論比と異なり、Zn/Snアンチサイト欠陥濃度が著しく高いZnSnP2が得られることが分かった。本研究ではまた、粉末試料についてZn/Sn欠陥濃度とラマンスペクトルの相関を調査した。その結果、この欠陥が減少することで、ZnSnP2の特定の振動モードによるラマン散乱の強度が顕著に増大することが分かった。このとき、Zn/Snアンチサイト欠陥濃度、すなわち長範囲規則度とラマン散乱強度との相関が、リンの平均原子位置を媒介として説明されることも明らかとなった。Zn/Snアンチサイト欠陥濃度は従来、X線回折によって評価されてきたが、本研究からラマン分光法による評価も可能であることが提示された。
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Research Progress Status |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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