2022 Fiscal Year Annual Research Report
ネオジム化合物における磁気的な2チャンネル近藤効果の実験的検証
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21J12792
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
山本 理香子 広島大学, 先進理工系科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Keywords | 強相関電子系 / 磁性 / 低温物性 / 2チャンネル近藤効果 / 非フェルミ液体 / 中性子散乱 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,立方晶カゴ状化合物NdCo2Zn20およびNd希薄系Y1-xNdxCo2Zn20における2チャンネル近藤効果の可能性を探るため,以下の実験を行った。 (1) NdCo2Zn20の単結晶中性子回折データの解析を行い,磁気構造と磁気モーメントの大きさを決定した。先に行った粉末試料を用いた中性子回折実験では,磁気反射の強度が弱く,磁気構造の同定には至っていなかった。そこで,前年度,単結晶を用いた実験を日本原子力研究機構JRR-3の三軸中性子分光器T1-1(HQR)において実施した。3He冷凍機を用いて最低温度0.3 Kまで実験を行ったところ,伝搬ベクトルk = (0.5 0.5 0.5)の磁気反射を観測した。解析の結果,磁気モーメントはup-up-down-downで配列しており,大きさは結晶場基底状態から予想される値よりも小さくなっていることがわかった。同型構造のNdRh2Zn20も同様の磁気構造を有するが,モーメントは計算値と一致している。したがって, NdCo2Zn20では磁気的な揺らぎによりモーメントが収縮していることが示唆される。 (2) 日本原子力機構JRR-3の高分解能冷中性子三軸分光器C1-1(HER)にて,粉末試料を用いた非弾性中性子散乱実験を行った。実験では,3He冷凍機を用いて0.7 Kまで測定し,ロトン励起と0.5 meV以下でストークス・アンチストークス散乱を観測した。今回観測された非弾性スペクトルが現れるエネルギーは,電気抵抗率が2チャンネル近藤効果の理論計算に従う温度変化を示す温度領域と一致している。 以上の結果について,原著論文1本と国際会議の議事録1件の論文にまとめ,国際学会で2件,国内学会で1件の発表を行った。
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Research Progress Status |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(5 results)