2021 Fiscal Year Annual Research Report
活物質―固体電解質界面をその場形成した全固体リチウム硫黄電池の作製と電池特性評価
Project/Area Number |
21J12809
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
蒲生 浩忠 豊橋技術科学大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Keywords | 全固体リチウム硫黄電池 / 硫化物固体電解質 |
Outline of Annual Research Achievements |
全固体Li-S電池の利用率向上には、正極電極内のイオン輸送特性の理解が不可欠である.正極内に含まれる硫化物固体電解質は、全固体Li-S電池の動作電位でレドックス反応を引き起こすため、活物質/固体電解質間の界面設計が重要である.本研究では、活物質/固体電解質界面をin situ形成した全固体リチウム硫黄電池の電池特性を評価することで、活物質/固体電解質の界面状態が電池特性に与える影響を明らかにすることを目的とした.ボールミリング処理を行い、正極材料Li2SにP2S5を微量添加した正極材料を作製した.得られた正極材料を用いて、全固体Li-S電池を構築し、電池特性を評価した.活物質/固体電解質界面をin situ形成した電極とP2S5添加なしの電極の充放電試験を行ったところ、それぞれ379 mAh g-1と350 mAh g-1の初回放電容量を示した.活物質/固体電解質界面をin situ形成した電極は、P2S5添加なしのLi2S電極と比較して、過電圧が減少した.その後サイクルを重ねると、各電池において容量の増加を確認し、活物質/固体電解質界面をin situ形成した電極では406 mAh g-1、P2S5添加なしのLi2S電極では472 mAh g-1の最大放電容量を示した.得られた充放電曲線を解析することで、活物質/固体電解質界面をin situ形成した電極では、固体電解質の分解によって得られる電気化学的に活性な分解生成物による容量の寄与が低減したことを明らかにした.したがって、本研究では全固体Li-S電池で得られる容量は、固体電解質からの活性な分解生成物の寄与が大きいことが示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,活物質/固体電解質界面をin situ形成した全固体リチウム硫黄電池の電池特性を評価することで、活物質/固体電解質の界面状態が電池特性に与える影響を明らかにすることを目指していた。これに対し、今年度の研究により、正極材料Li2SにP2S5を微量添加した正極材料を用いて、全固体Li-S電池を構築し、電池特性を評価した.得られた充放電結果を詳細に解析することで、活物質/固体電解質の界面状態の電池特性への影響を確認した。また、全固体Li-S電池で得られる容量は、固体電解質からの活性な分解生成物の寄与が大きいことが見出された.以上は,当研究課題の当初目的を概ね達成する成果であり,初年度の計画通りに進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
作製した全固体電池について、インピーダンス解析やex situラマン測定を行うことで、構造的かつ電気化学的に活物質/固体電解質の界面状態が電池特性に与える影響を明らかにする。また、正極複合体作製時のミリング条件を変化させることで、活物質/固体電解質間の異なる界面状態を設計する。異なる界面設計による固体電解質から生成される活性な分解生成物と活物質の酸化還元反応の変化を調査する。加えて、これまでは電極内に使用する固体電解質として、Li3PS4を使用してきたが、高い酸化耐性を示す固体電解質を適用し、充放電過程の固体電解質の分解反応が電池特性に与える影響を調査する。
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