2021 Fiscal Year Annual Research Report
燃料電池微細構造の最適設計のための成膜プロセス・インフォマティクス
Project/Area Number |
21J12813
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
冨澤 森生 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
|
Keywords | 燃料電池 / 電気化学測定 / シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度においては実験領域における進捗として,パターン電極サンプル(微細構造付きPEFC)と通常のフラット電極サンプルとの比較発電試験および,その緩和時間分布(DRT)解析を行った.これらの結果に対して,カールスルーエ工科大学の研究室と議論を重ね,学会での発表を行ったほか,共著の論文にまとめた.投稿した論文は海外の査読付き論文誌に採択された. 発電試験およびDRT解析を通し,以下の2点が明らかになった.すなわち,(1)酸素還元反応(ORR)の反応抵抗に関連する部分でパターン電極に優位性があることと,(2)酸素の拡散についてはパターン電極の方が不利であることである.パターン電極PEFCを作製する場合はこれらに留意した設計が必要であることがわかった. また,シミュレーション領域における進捗として,以下の内容を行った.(1)パターン電極シミュレーションの構築(2)発電試験の実施と,構築したシミュレーションのバリデーション作業(3)構築したシミュレーションを活用した,さまざまなパターン形状や組成に対する反応輸送計算.内容に関しては,基礎的な部分を一度学会で発表したほか,論文を執筆中である. (1)および(2)に関して,適切な設定値の調節を行う中で構築したシミュレーションの結果と実験の結果が適切に一致することがわかった.特に,1つの設定値に対してパターンおよびフラットの電極のどちらの結果に対しても適切にフィッティングが行われた.このことから適切なシミュレーション構築が行われていることがわかった.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
もともと,(1)実験とDRT解析を活用したメカニズム解明(2)シミュレーションを活用したメカニズムの掘り下げ(3)インフォマティクスを活用した最適構造の設計の3ステップで研究を進めることとしていた.(1)と(2)が達成できているという観点から区分を選択した.
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は,パターン電極シミュレーションの論文を完成させて対外的な成果を残すほか,本シミュレーションを活用したメカニズム解明をさらに深める. また,このシミュレーション手法を活用し,最適なパターン形状と組成の設計を行う.始めはシミュレーションを活用した総当たり方式でのパラメータ探索を行う.ただし,その中で総当たり方式でのパラメータ探索では計算負荷・時間が膨大になってしまうことが考えられるので,インフォマティクスの手法を取り入れて最適な設計のためのパラメータ探索を行う.
|