2021 Fiscal Year Annual Research Report
カルシウム動態が腫瘍原性に及ぼす影響の解明と新規治療法開発
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21J12981
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田村 萌 東京大学, 新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Keywords | AML / カルシウム動態 / SOCE / 腫瘍抑制遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、骨髄系腫瘍細胞を用いたin vivo CRISPR libraryスクリーニングにより、カルシウムポンプであるSercaをコードするAtp2a2をがん抑制遺伝子として同定した。Atp2a2を欠失した骨髄系腫瘍細胞は、in vivoでは増殖が促進されるのに対し、in vitroでは逆に増殖が抑制された。このことより、骨髄系腫瘍細胞においてAtp2a2が実際に生体内でがん抑制遺伝子として働いていることを明らかにした。また、Atp2a2欠失骨髄系腫瘍細胞は、生体内で薬剤抵抗性を示すことを示した。さらに、Atp2a2欠失骨髄系腫瘍細胞が生体内特異的に増殖優位性を獲得する機序の1つとして、MHC class1の発現低下により、T細胞からの攻撃が減少することが示唆された。 ATP2A2は、細胞質から小胞体へのCa2+の取り込みを担うSERCAをコードする遺伝子で、細胞内Ca2+濃度調節に寄与している。本研究では、骨髄系腫瘍細胞において、Atp2a2欠失により小胞体内Ca2+濃度の低下、細胞質内Ca2+濃度の上昇、およびSOCEの活性化などカルシウムシグナルに異常が生じることを明らかにした。これらの結果より、ATP2A2が欠失している腫瘍および発現が低下している腫瘍、SERCAの機能が低下している腫瘍においてSERCA活性化薬が有効な治療薬になり得ることが期待される。また、様々な腫瘍細胞において、SOCEを担うSTIMとORAIが過剰に発現していることや、STIM1およびORAI1のノックダウンおよび薬剤によるSOCEの阻害によって、様々な腫瘍でがん細胞の増殖や転移を抑制することが報告されている。これらのことより、Atp2a2欠失による腫瘍促進効果には、SOCEの活性化も関与している可能性が高く、腫瘍細胞における異常なSOCEの活性化も有力な治療標的になりうる。
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Research Progress Status |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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