2021 Fiscal Year Annual Research Report
Development of monitoring method for freshwater bivalves using DNA and evaluation of cyanobacterial assimilation ability
Project/Area Number |
21J13090
|
Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
菅原 巧太朗 秋田県立大学, 生物資源科学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
|
Keywords | 二枚貝 / タテボシガイ / グロキディウム幼生 / 環境DNA / アオコ / 藍藻 / バイオマニピュレーション / 水質浄化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では水質浄化機能を持つ淡水二枚貝イシガイ目タテボシガイの現存量調査手法の確立及び八郎湖における現況の藍藻に対する水質浄化ポテンシャルの評価を目的としている。 タテボシガイの現存量調査手法の確立では、排水処理で用いられる微生物付着担体を用いてタテボシガイのグロキディウム幼生を捕集し、幼生由来の環境DNAを定量した。八郎湖沿岸部22地点において幼生由来環境DNAの濃度を明らかにし、DNA濃度のマップを作製した。研究計画が順調に進行して当初の計画は達成されたため、次年度の計画であったDNA濃度のマップに基づく成貝の密度調査及び生息地選好性評価のための水及び底質試料採取を前倒しで行った。タテボシガイ成貝の密度調査の結果、幼生由来の環境DNAが成貝の密度を概ね反映していた成果を得た。また、生息地選好性について、タテボシガイ成貝の密度は底質の中央粒径と正の相関関係を示し、粗い粒径の場所を好む傾向が明らかとなった。しかしながら、成貝の生息地選好性は明らかになったが、稚貝の生息地選好性に関する情報を得ることはできなかったため、今後の課題とされた。 八郎湖における現況の藍藻に対する水質浄化ポテンシャルの評価では、室内実験においてアオコの発生を想定した藻類濃度及び温度におけるタテボシガイの藍藻資化速度が83 mgC/個体/日であることを明らかにした。八郎湖では夏季に約330 tCのアオコが発生すると推定されるが、八郎湖におけるタテボシガイの最大密度は平米当たり1個体未満であり、タテボシガイを用いた藍藻に対する水質浄化では、個体数の増加が課題とされた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
令和3年度の計画では、八郎湖におけるグロキディウム幼生由来環境DNAの濃度マップの作製を目標としていた。しかし、研究計画が順調に進行して当初の計画は達成されたため、次年度の計画であったDNA濃度のマップに基づく成貝の密度調査及び生息地選好性評価のための水及び底質試料採取を前倒しで行った。さらに、採取した水及び底質試料の化学分析も進め、タテボシガイ成貝の密度と底質の中央粒径の間に正の相関関係を検出し、タテボシガイ成貝は粗い粒径の場所を好む傾向を明らかにした。したがって、当初想定していた計画以上に進展している状況である。
|
Strategy for Future Research Activity |
(1)タテボシガイの現存量調査手法の確立: グロキディウム幼生由来環境DNAは概ね成貝の密度を反映していることは明らかとなった。しかしながら、個体数密度を増加させる上で重要な稚貝の分布状況を明らかにする点においては課題が残されている。 (2)八郎湖における現況の藍藻に対する水質浄化ポテンシャルの評価: タテボシガイの藍藻資化速度は83 mgC/個体/日であることを明らかにし、夏季のアオコを抑制するには個体数の増加が課題とされた。 したがって、当初の計画には位置づけられていないが、稚貝の着底時期に底質に排水処理で用いられる微生物付着担体を設置し、稚貝の着底状況を調べる手法の有用性について検討する。さらに、稚貝を回収できた場合には、稚貝を用いた生育実験を行い、稚貝の最適な生育条件について検討する。
|
Research Products
(4 results)