2021 Fiscal Year Annual Research Report
炎症の持続期間により発痛から鎮痛作用へシフトする硫酸化糖脂質スルファチドの解析
Project/Area Number |
21J13141
|
Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
森田 元樹 北里大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
|
Keywords | 疼痛 / スルファチド / 脊髄 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度までの研究においてマウスの足底に炎症が生じた際、脊髄においてスルファチド合成に関わる酵素の遺伝子発現が変化したことからスルファチドが炎症性の疼痛に関与している可能性が示された。また、スルファチドをマウスの脊髄髄腔内に投与することでアロディニアが惹起され、それにはアストロサイトが関与することが明らかになった。これらを踏まえ、炎症性疼痛モデルマウスの脊髄におけるスルファチドをTLCにより測定したところ対照群と比較して炎症惹起剤投与7日後に増加していた。スルファチドの量が7日後以外の炎症の日数によってどのように変化するかは検討予定である。 更に、スルファチドがアロディニアを引き起こす際に関与している分子の特定を試みた。スルファチドの生体内リガンドとして知られているセレクチンの阻害剤を事前投与することによってスルファチドによるアロディニアを抑制が抑制されたこと、炎症性疼痛モデルマウスに対してアロディニア抑制作用を示したことから、スルファチドがセレクチンを介してアロディニアに関与している可能性が示された。セレクチンの発現やグリア細胞との関与については今後検討していく。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、炎症性疼痛マウスの脊髄でスルファチドが増加することを示し、スルファチドがアロディニア発症時に作用する分子の候補を見つけた。一方で脊髄内でのスルファチドの供給源や受容体の発現細胞については現在検討中であるため、おおむね順調に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後はアストロサイトに着目し、スルファチドが疼痛時に作用するメカニズムを解析する。
|