2021 Fiscal Year Annual Research Report
Syngman Rhee's government era (1948-1960) Formation and development of Korean democracy
Project/Area Number |
21J13253
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高城 建人 京都大学, 人間・環境学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
|
Keywords | 民主主義 / 自由主義 / 多元主義 / 立憲主義 / 政党政治 / 議会政治 / 法の支配 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は、4回の国内外学会、研究会発表と2個の論文が学術誌に掲載された。 研究会発表は、昨年5月に東アジア実学研究会という東北大学が主催する研究会で「李承晩の政治体制・民意・政党認識とその限界」というタイトルで西洋の自由民主主義の観点で見た場合の彼の民主主義思想の問題点について研究発表を行った。 国内学会の発表としては、7月と11月に比較文明学会関西支部例会と比較文明学会全国大会で発表を行った。7月の比較文明学会関西支部例会では「西洋民主主義思想と李承晩」というタイトルで李承晩と西洋民主主義との関係を、11月には「『民主主義と私』という著書から見る趙炳玉の民主主義思想の特徴」というタイトルで趙炳玉という人物の民主主義思想について発表を行った。 国外学会の発表としては、昨年8月に日韓次世代学術フォーラムという学会で「1952年国会と政府の民主主義論争について」というタイトルで1952年に韓国の国会と政府(李承晩政権)が対立した政治的出来事に関する内容の発表を行った。 投稿論文に関しては、5つの学術誌に論文を投稿(すべて別個の論文。二重投稿なし)し、そのうち2つの論文が採択された。ひとつの論文は、「1948年韓国国会の憲法制定における政府形態問題に関する研究」というタイトルであり、1948年韓国国会の憲法制定過程について扱っている。同論文は、昨年の12月に『人間・環境学紀要』という京都大学大学院人間・環境学研究科が発行する学術誌に掲載された。もうひとつの論文は、「釜山政治波動の政治思想史的影響」というタイトルであり、釜山政治波動という1952年中旬に韓国で発生した政治的出来事がその後の韓国政治思想史に及ぼした影響を書いた。同論文は、今年3月に『社会システム研究』という京都大学大学院人間・環境学研究科社会システム研究会で発行する学術誌に掲載された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
もともと去年の夏休み(2021年8月‐9月の2か月間)と春休み(2022年2月‐3月の2か月間)を利用して韓国に渡航し、現地で未公刊の1次資料を収集する予定であった。しかし、コロナウィルスの長期化及び悪化によって現地に行くことができずに資料収集の面で計画通りにはいかず、大きな支障が生じており、博士論文の仮説の裏付けと実証性に関して大きな問題を内包したままとなっている。現在(2022年4月時点)は、主に当時の国会議事録や国務会議録、新聞記事や選挙の統計記録など、インターネットで公開されている1次資料、そして先行研究で引用されている2次資料の情報源、手に入れることができた主要人物の回顧録を中心として用いて研究を行っており、それらを資料をもととして今月末に博士論文初稿を完成させている。今後の問題は、様々な1次資料を駆使していかにして博士論文の仮説と実証性を高めることができるかになっている。同問題は、今年の夏休みに韓国へ渡航して現地で様々な未公刊資料を収集することで解決していきたいと考えている。 コロナウィルスによって韓国に行くことができず、資料収集上制限が生じ、実証面で大きな困難が生じていること以外は、研究の進捗状況はおおむね順調であり、昨年度は、先述したインターネットで公開されている資料をもととして得た研究成果を様々な場所で積極的に研究発表を行った。現在の進捗状況のままだと予定していた期間である2023年3月までに研究を完成できると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度は、昨年度と同様、昨年度の資料収集・閲覧を通じて得た研究成果の発表及び博士論文の完成を行う。具体的には、現代韓国朝鮮学会や日本比較政治学会、アジア政経学会など、日本でのいくつかの学会で報告を行うと同時に『現代韓国朝鮮研究』や『比較政治研究』などのいくつかの学術誌に論文を投稿する予定である。日本だけでなく、もし機会があれば、韓国政治学会や韓国政治思想学会など韓国の学会でも発表を行いたいと考えている。学会や学術誌への発表や論文投稿以外にも研究会や研究室で積極的な発表を行い、様々な人からアドバイスをもらって論文を漸進的に修正していく予定である。 また、本年度4月末に完成させた博士論文初稿の追加的な修正を行い、11月中旬の博士論文の提出締め切りに向けて完成度を高めていきたいと考えている。加えて研究に必要な韓国政治と政治学及び政治思想関係の国内外の図書の購入を継続する。夏休みの8月には、初稿完成後に指導教員や関連分野の研究者の指摘などにより新たに気づいた内容修正の際に必要な資料収集のために韓国に訪問し、約1か月間韓国に滞在しながら初稿で欠けていた部分の資料調査を行う。そして、現地で得た資料をもととして仮説の裏付けと実証性を高めていく。また、韓国の博士論文など、日本では手に入らなかった未公刊の先行研究も収集する予定である。本年度の10月末まで、博士論文を完成させ、11月中旬に博士論文の申請を行う予定である。
|