2021 Fiscal Year Annual Research Report
頻脈性不整脈の根治に向けたin silico学習による焼灼治療戦略最適化の検討
Project/Area Number |
21J13347
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
瀬野 宏 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
|
Keywords | 頻脈性不整脈 / 心房細動 / 焼灼治療 / 深層学習 / in silico学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、心臓電気生理シミュレータと深層強化学習を組み合わせたin silico学習を用いることで、これまで提案者の経験や主観に強く依存していた焼灼戦略を客観的に最適化することである。 1年目である2021年度は、まず簡易な心臓電気生理シミュレータを用いて原理実証実験を行った。学習によって得られた焼灼箇所生成深層学習モデルと、ランダムな焼灼、従来手法の1つであるローター焼灼の焼灼割合と不整脈停止確率を比較した結果、学習によって得られた焼灼戦略は他の焼灼戦略と同等の焼灼割合でより確実に不整脈を停止できることを確認した。さらに、学習によって得られた焼灼戦略について解析した結果、学習モデルは不整脈の駆動源である旋回興奮の中心点と組織境界を接続するような焼灼領域を形成する傾向があった。提案手法によって得られた焼灼戦略は、電気生理学的にも合理的な焼灼戦略の1つであり、提案手法によって、客観的に電気生理学的にも妥当な焼灼戦略を習得できる可能性が示された。 また生体標本を用いた検証実験を行うため、in vitro心筋シートに対する検証実験システムの構築を行った。興奮様態の計測は膜電位感受性色素を用いて行い、共焦点顕微鏡によってin vitro心筋シートの興奮様態が計測可能であることを確認した。また焼灼システムはレーザとXYステージを用いて構築し、in vitro標本に対するパターン焼灼が可能であることを確認した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画では、初年度に心臓電気生理シミュレータを用いた原理実証を行う計画であった。2021年度では、簡易な心臓電気生理シミュレータ上ではあるものの、予定していた原理実証実験を完了した。本成果はトップカンファレンスであるHeart Rhythm 2021で発表し、またアップデートした結果を論文(Journal of Medical and Biological Engineering, 2021)として発表した。さらに翌年度に計画していた、in vitroでの検証実験システムの構築を前倒しで実施し、in vitro心筋シートに対して焼灼と膜電位計測が行える実験システムのプロトタイプを完成させた。以上より、本研究はおおむね順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
2022年度は初年度にプロトタイプを完成させたin vitro実験システムを改良し、構築したシステムを用いて、本研究で提案するin silico学習による焼灼戦略最適化のin vitro標本に対する有効性の検証を目的とする。まずin vitro心筋シートの興奮現象をより高い時空間分解能で可視化するために、高速度カメラを用いた光学系を構築する。さらに心筋シートを焼灼するための光学システムと興奮様態計測用の光学システムを融合させ、焼灼直後の興奮様態の撮影ができる実験システムの構築を行う。その構築したシステムを用いてin vitro心筋シートに対する検証実験を行い、本研究の提案するin silico学習による焼灼戦略最適化の生体標本への応用可能性を検証する。
|
Research Products
(3 results)