2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21J13407
|
Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
三嶋 洋介 立教大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
|
Keywords | インフレーション / 修正重力理論 / 宇宙論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は原始重力波のスペクトル指数が正となるスローロール・インフレーションモデルの解明である。これまでの観測結果に整合的なスローロール・インフレーションモデルは原始重力波のスペクトル指数が負となることが予言されていた。先行研究では個々の具体的なモデルを包括的に取り扱う修正重力理論のフレームワークを用いてもなお原始重力波のスペクトル指数は負になることが報告されていたが、前提となっていた仮定は緩められるということを突き止め、原始重力波のスペクトル指数が正となるスローロール・インフレーションのモデル空間が存在することを発見した。このモデル空間内に観測可能なモデルがどの程度存在するのか検証することを試みる。 最も一般的なスカラー・テンソル理論は、ラグランジアンの中にインフラトン場の非線形相互作用項を含む。この非線形相互作用項が不適切な形で含まれていると、インフラトン場が振動しなくなることが指摘されていた。この解は物質場へエネルギーを移すことができないため、インフレーションモデルとして不適切である。このようなケースを回避できるかという点に着目し、ガウス・ボンネ項との相互作用を持つモデルと(インフレーション中に)正準運動項の係数が負となるモデルについて調査した。いずれのケースでも適切に振動期を実現する解が存在することは確認できたが、それらの解がどの程度自然なものであるかを調査したところ、微調整を要することが判明した。 上記の他に、最も一般的なスカラー・テンソル理論において、重力波の伝播速度が非光速となる重力理論をパルサー・タイミング・アレイ実験を用いて検証する研究を行なった。結果として、典型的なミリ秒パルサー群からのパルスの相関関数を評価する際に、背景重力波静止系に対して銀河系が動いている現実的なケースを想定すると、共鳴項の影響が無視できないことを明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
原始重力波のスペクトル指数が正となるインフレーションのモデル空間の探求において、当初の計画に挙げていた調査は実施することができた。その結果、今年度検討した性質を持つモデルに対してはその実現に微調整が必要であろうことが判明し、国際雑誌への成果報告が遅れてしまっている状況である。
|
Strategy for Future Research Activity |
近い分野の研究者と議論を深めながら成果報告の形を模索していく。また、モデル空間内の違う特徴を持つモデルにも目を向け、更なる検討を進めていく。
|
Research Products
(2 results)