2022 Fiscal Year Annual Research Report
ウェルシュ菌が産生する二成分毒素を用いた膜孔透過機構の解析
Project/Area Number |
21J13410
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
山田 等仁 京都産業大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Keywords | 細菌毒素 / 膜孔形成毒素 / クライオ電子顕微鏡 / 単粒子構造解析 / アンフォールディング / 膜透過 / 二成分毒素 |
Outline of Annual Research Achievements |
二成分毒素は酵素成分と膜結合成分から構成される、細菌が産生するタンパク質毒素である。膜結合成分は標的細胞に膜孔を開け、酵素成分がこの中を通過し細胞に侵入すると考えられているが、膜孔には二次構造すらも通さないほど小さな狭窄部位があることが知られており、透過機構についてはまだ詳しく理解されていない。我々はウェルシュ菌が産生する二成分毒素であるイオタ毒素 (Ia,Ib)を用いて、 その複合体構造を報告した。すでに結晶構造が報告されていたIaではN末端に長いアルファヘリックスを有することが知られていたが、複合体中においてはこれがアンフォールドしていた。このことから、酵素成分であるIaは膜孔との複合体形成をきっかけにN末端がアンフォールドされ、狭窄部位を通過し得ると考えられた。 今回私は同じく二成分毒素であるデフィシル菌のCDT毒素についても複合体の構造を決定し、N末端がアンフォールドされる機構が二成分毒素間で保存されているか、単粒子構造解析によって調べることにした。その結果、CDT毒素複合体の構造を高い分解能で決定した。CDT毒素複合体の構造はイオタ毒素複合体構造と高度に保存されており、複合体中において酵素成分のN末端がアンフォールドされることについても共通していた。さらに詳細なクラス分けによって、CDTaのN末端の構造が保たれた状態で結合した複合体の構造についても明らかにした。これによって、酵素成分はN末端の構造を保ったまま複合体を形成し、複合体の中で構造変化が起こることでN末端がアンフォールドすることが示唆された。 以上の研究から得られた構造はいずれも界面活性剤ミセルで可溶化された構造であるため、私は脂質膜を用いた状態でIb膜孔の構造解析に試みる中で得られた試料から、Ib膜孔の構造をこれまでの二成分毒素の報告の中で最も高い分解能で決定し、詳細な膜孔の構造を決定することに成功した。
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Research Progress Status |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(3 results)