2021 Fiscal Year Annual Research Report
楕円曲線に付随する非可換拡大における新たな数論の研究
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21J13502
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
臺信 直人 慶應義塾大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Keywords | 楕円曲線 / 保型形式 / Selmer群 / ガロア表現 / イデアル類群 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は主に、保型形式に伴う表現に付随する代数体のイデアル類群について研究した。
1. 有理数体上の楕円曲線のp等分体のイデアル類群について研究した。主な成果として、p等分体のイデアル類群がガロア群の既約表現を商にもつ十分条件を、その既約表現のZpリフトのBloch-KatoによるSelmer群を用いて与えた。過去にPrasadとShekharは、p等分体のイデアル類群がp等分点の群を商に持つ条件を楕円曲線のp-Selmer群を用いて与えていた。本年度得られた研究成果の位置づけは、このPrasadとShekharの結果を一般化したものにあたる。本研究結果はTokyo Journal of Mathematics誌に受理された。
2. 1で行った研究の研究対象を、重さ2の保型形式である楕円曲線から一般の保型形式に拡張した。保型形式には法pガロア表現が伴うことが知られており、その表現から代数体を対応させることができる。得られた研究成果として、保型形式に付随する代数体のイデアル類群が、保型形式に付随する法pガロア表現を商にもつ条件を、1と同様に表現のZpリフトのBloch-KatoによるSelmer群を用いて与えた。1と2の成果から、PrasadとShekharの結果を大幅に一般化できたことになる。また研究成果の応用としてBloch-Kato予想を仮定した上で、ある代数体であって、そのイデアル類群が保型形式に伴う表現を商にもつような具体例も与えることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画ではPrasadとShekharの結果から一歩進み、楕円曲線のp等分点の体のイデアル類群がp等分点の群の二次対称テンソル積を商にもつ条件を、Bloch-KatoのSelmer群で表すことが目標であった。本年度の研究では、二次対称テンソル積のみならず、一般の既約表現がイデアル類群の商に現れる条件を明らかにできたので、当初の計画よりも研究の進展があった。さらに研究開始当初は想定していなかった、本研究の保型形式への一般化についても本年度は進展が得られている。以上の理由から、本研究は当初の予定よりも大幅に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き保型形式に付随する代数体のイデアル類群について研究する。本年度はSelmer群とイデアル類群の関係を主に研究し、代数的な対象達を研究対象にした。今後は保型形式に伴う解析的対象と、イデアル類群の関係についても研究する。
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