2021 Fiscal Year Annual Research Report
緑茶カテキンのNAFLD抑制作用における環状RNAの関与および機能性解明
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21J13603
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉富 廉 九州大学, 生物資源環境科学府, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Keywords | 環状RNA / 緑茶カテキン / 非アルコール性脂肪性肝疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
10 mg/kg b.w.の(-)-Epigallocatechin-3-O-gallate (EGCG) を一週間経口投与したマウスの肝臓における環状RNA (circRNA) 変動をマイクロアレイにて包括的に測定したところ、35種類のcircRNAの発現変動が認められた。その中でも、EGCGの経口投与により発現上昇したmmu_circ_0000792は非アルコール性脂肪性肝疾患 (NAFLD) により発現低下することが報告されている。しかしながらその機能性は不明であるため、本年度はmmu_circ_0000792の機能性に関して検証を行った。リアルタイムPCRにて、mmu_circ_0000792発現の再現性確認を行ったところ、マイクロアレイと同様の結果が得られた。Mmu_circ_0000792の機能性を明らかにするために、mmu_circ_0000792を過剰発現させたマウス肝細胞NmuLiを構築し、次世代シーケシングを用いた遺伝子発現解析を行った。その結果、mmu_circ_0000792の発現上昇はNAFLDの進行に関わる主要な遺伝子Actin Alpha 2 (Acta2) およびCollagen type I, alpha 1 (Col1a1) の発現を低下させることが確認された。また、mmu_circ_0000792により発現変動した遺伝子をGene ontology (GO) 解析およびPathway解析に供したところ、循環器系の遺伝子やNAFLDに深く関わるコラーゲン関連遺伝子、EGCGのシグナル伝達に関与する遺伝子の発現を変動させることが明らかとなった。以上より、EGCGにより発現上昇したmmu_circ_0000792はNAFLDの予防に関与するとともに、循環器系の遺伝子発現に影響を与えるcircRNAであることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はmmu_circ_0000792がNAFLD関連遺伝子の発現調節作用を有することを明らかにした。また、EGCGのmmu_circ_0000792発現上昇作用に67LRが関与するかは不明であるが、pathway解析の結果、EGCGの67LRを介した経路の一つにmmu_circ_0000792が関わることが示唆された。さらに、NAFLDモデルマウスにEGCGを投与した実験を行い、現在解析中である。以上により、全体として研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、mmu_circ_0000792のNAFLD抑制作用について検証を進めるとともに、NAFLD以外の疾病との関与についても検討する。また、NAFLDモデルマウスを用いた検討に関しても引き続き実験および解析を行う。
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Research Products
(6 results)