2021 Fiscal Year Annual Research Report
Theoretical Study on Rheology in Wet Granular Systems
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21J13720
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
吉井 究 大阪大学, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Keywords | 粉体 / レオロジー / ジャミング転移 / 濡れ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,濡れた粉体系のレオロジーに関して包括的な理解を目指すために以下の二つの課題を進める計画であった.ひとつは「濡れた粉体のレオロジーの微視的解明」,もうひとつは,その結果に基づき「濡れた粉体の造るマクロな構造体の力学的特性の理解」を進めるというものである.今年度は「濡れた粉体のレオロジーの微視的解明」に取り組み,進展が見られた.主たる結果は二つあり,一つは濡れた粉体系の微小変形に対する弾性応答と空間構造の関連の解明である.濡れた粉体に歪みの小さな周期的なせん断を加えた際の剛性率や圧力に関して調べ,乾いた粉体系と比べ転移点が下がり,またその近傍で剛性率や圧力などの力学特性の臨界的な振る舞いが異なることを発見した.また,力学特性だけでなく粒子の空間配置に関して二体分布関数やボロノイ解析を用い解析し,濡れた粉体系特有の空間構造の解析を行なった.さらに理論解析から圧力と二体分布関数の関係を明らかにした.この内容について,現在論文原稿を作成中であり投稿間近である.もうひとつの結果は,定常せん断下での履歴に依存したレオロジー特性の発見である.中密度の乾いた摩擦のある粉体系にせん断を加え,せん断速度を段階的に上げていくとそのせん断応力が急激に上昇するシアシックニングという現象が知られている.また,段階的に下げていくと上昇していたせん断応力が下のバグノルド則に従うブランチに戻るヒステリシスを示す.本研究では,濡れた粉体系に対して同様の設定でシミュレーションを行なった結果.シックニングの発生は乾いた系と同様であるが,せん断速度を0極限まで落としても有限のせん断応力が残る乾いた系とは異なる履歴依存性を発見した.現在は,せん断応力を制御するシミュレーションに着手している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「濡れた粉体のレオロジーの微視的解明」に関しては研究実績に示したように一定の成果を得ており論文投稿間近であるものと追加のシミュレーションを行う段階にあり,「濡れた粉体の造るマクロな構造体の力学的特性の理解」の課題に関しては予備的なシミュレーションを行うまでに達しているため.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度末に取り組んでいた,せん断応力を制御するシミュレーションを進め,履歴依存性についての結果を得られると期待している.またマクロな構造体のシミュレーションに関しては,多数の粒子を用いたシミュレーションを行う.これには,分子動力学シミュレーターであるlammpsを用い大規模な並列計算を予定している.
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Research Products
(5 results)