2022 Fiscal Year Annual Research Report
Criticism of Western Civilization in Soseki's and Dostoevsky's Literary Works
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21J13755
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
Chalakova Maria 東京外国語大学, 総合国際学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Keywords | 近代文明批判 / 夏目漱石 / ドストエフスキー |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度はまず2021年9月の“Japan: Pre-modern, Modern, and Contemporary”(ルーマニア)で発表した内容を発展させ、論文にまとめた。次に、2022月7月にXXIII Congress of the ICLAで引き続きドストエフスキー『未成年』と漱石『三四郎』を取り上げ、両作品における父の表象について報告を行った。両作品に共通してみられる〈父の不在〉及び〈父との不和〉というモチーフは、近代化を推し進める過程において〈過去〉との連続性を失ってしまったロシアと日本の若い世代の分裂した意識を象徴していることを明らかにした。10月に日本比較文学会 第60回東京支部大会でドストエフスキー『未成年』と漱石『三四郎』における「疎外感」の問題について報告した。以上の学会で発表した内容をさらに深め、博士論文の一章としてまとめた。博士論文ではさらに漱石『こころ』とドストエフスキー『白痴』、漱石『それから』とドストエフスキー『罪と罰』を比較分析した。その他、漱石『野分』を取り上げ、主要登場人物の一人である高柳周作における「地下生活者」の性質について考察した。自意識過剰に苛まれ、自分を見捨てた社会に敵対心を持っている「厭世家の皮肉屋」高柳周作は漱石文学においてはじめて現れたドストエフスキー的な登場人物である。また、漱石『明暗』におけるドストエフスキー的な要素や小林の意味を明らかにした。12月に仙台・東北大学付属図書館で「漱石文庫」に所蔵されているドストエフスキー及びロシア文学関連の著書への書き込みや下線の調査を行った。漱石の書き込みや下線などをもとに漱石とドストエフスキー及びロシア文学に関する年譜を作成し、博士論文の付録として発表する予定である。10月以降は主に博士論文の執筆に専念し、2023年2月に第一稿を書き上げた。
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Research Progress Status |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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