2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21J13783
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
横倉 伶奈 北海道大学, 理学院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Keywords | 流体包有物 / 希ガス同位体対比 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は下部マントル由来の窒素を抽出,同位体比を測定し初期地球を形成した隕石を明らかにすることである.しかし窒素などの揮発性成分は地上に大量に存在しているため通常の方法では混戦を避けることが困難である.そのため,それらの混染を避けるために上部マントルの一部であるマントル捕獲岩を使用し,その利点として地上の混染を避けることができる,という利点を最大活用する.捕獲岩に含まれる鉱物粒子に包有物として捕らえられた揮発性物質を抽出できれば,そこから深部物質の同位体比を地上の揮発性物質の混染なく探ることが可能である.ただし,この手法においては地上の揮発性物質の混染は回避できる.しかし欠点として深部の窒素が地表に出るまでに上部マントルに由来する揮発性物質が混染し,置き換えられてしまう可能性が示唆されている.先行研究で外部成分と上部マントルに由来する成分を分離する方法は未だはっきりとは判明していなかった.そのため今回は外部物質由来の成分と上部マントル由来の物質を分離するため,まず上部マントル物質がどのような形で含まれるのかを検証した.具体的な方法としては包有物の形状・含有量と同位体比相関性を定量化した.その結果,包有物の形状から判断できる成熟度によって捉えられた成分の由来が異なる可能性を示し,実際に局所測定に及ぶことによって成熟した形状のものに上部マントル的な値が含まれていることを実証した.形状が成熟しているということはすなわち鉱物内部に取り込まれてから比較的時間の経過しているものであり,これに上部マントル由来の揮発性成分が閉じ込められている可能性が高い.逆算すると外部から侵入した物質は時間的に比較的新しいことが示唆される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの流行の影響により,海外産のマントル捕獲岩を入手することが困難となった.そのため手持ちのマントル捕獲岩を使用した研究における普遍的な問題である,上部マントルに由来する揮発性物質の分離可能性を探る方向に転換した.理由としてはこれを解決できれば本来の目的であった下部マントル以深に由来する物質の抽出に近づくことができるためである.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進政策として,まず成熟した形状のインクルージョンの由来を確定させるために追加の局所測定を行い,本研究においては排除しなければならない上部マントル由来成分の分離可能性を追究する.加えて成熟の段階が浅いインクルージョンの局所測定を行い,成熟したタイプとの比較を行い,その同位体比的な変化を追うことによって的確な外部成分の抽出の可能性を検証する.これらの研究のため,ラマン分光分析により包有物内部のCO2ガス量を確定させたのちに,レーザー局所測定を出張して行い,特定形状のインクルージョンの希ガス同位体比の範囲もしくは由来を確定させる.また,同様にその特定の形状ごとの窒素同位体比測定を行う.
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