2021 Fiscal Year Annual Research Report
共感とストレス緩和を担うオキシトシン神経回路の解明
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21J13906
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
中武 優子 東京理科大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Keywords | オキシトシン / 情動伝染 / 共感 / 島皮質 / ストレス / 社会的敗北 / うつ様行動 / マウス |
Outline of Annual Research Achievements |
同種他個体が攻撃を受ける社会的敗北場面を目撃させることで、マウスにストレスを負荷することが可能である。この社会的敗北の目撃によるストレス負荷の過程には、実際に攻撃を受けている個体に対する共感が作用していると考えられる。本年度は社会的敗北の目撃によるストレス伝達および後の情動行動の変化におけるオキシトシンの関与について検証した。まず、単回のストレス負荷後に、神経活動のマーカーであるc-Fosの免疫組織化学染色を行った。その結果、社会的敗北の目撃は島皮質前部内のc-Fos陽性細胞数を増加させたが、このような変化は実際に攻撃を受けたマウスでは観察されなかった。また、オキシトシン受容体の近傍に蛍光タンパク質tdTomatoを発現するOxtr-tdTomatoマウスを用いて、c-FosとtdTomatoの二重免疫組織化学染色を行った。その結果、社会的敗北の目撃は島皮質前部内のオキシトシン受容体発現細胞を活性化させることが判明した。そこで、島皮質前部にオキシトシン受容体阻害剤を局所投与したところ、目撃によるすくみ反応と血中コルチコステロン値の上昇がともに抑制された。一方、実際に攻撃を受けたマウスに同様の処置を行っても、上述の変化は抑制されなかった。さらに、Oxtr-iCreマウスの島皮質前部に、抑制性の光活性化タンパク質NpHRを導入できるAAVベクターを局所注入し、社会的敗北の目撃中にのみ黄色光を照射してオキシトシン受容体発現細胞の活動を抑制した。この操作を10日間繰り返したところ、社会性の低下やスクロース溶液に対する嗜好性の低下などのうつ様行動の発現が抑制された。これらのことから、島皮質内オキシトシン受容体発現細胞の活動が社会的敗北の目撃におけるストレス伝達を仲介し、後の情動行動の変化を導くことが示唆された。
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Research Progress Status |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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