2021 Fiscal Year Annual Research Report
Business and Human Rights in Africa -How stakeholder engagement affects responsible business behavior-
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21J14076
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
井上 直美 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Keywords | ビジネスと人権 / 国連『ビジネスと人権に関する指導原則』 / コミュニティ・エンゲージメント / ステークホルダー / アフリカ / 大規模農業投資 / 土地 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度の主な研究成果は、言語・地域文化研究(Language, area and culture studies)28に掲載された論文“The mechanism of promoting corporate responsibility to respect human rights through international norms and how it works in Africa” (アフリカにおける国際規範を通じた企業の人権尊重メカニズムの有効性)である。 本年度の研究は、ビジネスと人権(以下、BHR)の議論の発展の過程をまとめ、次にアフリカにおける国際規範を通じた企業の人権尊重メカニズムの有効性を検討した。具体的には、国連『ビジネスと人権に関する指導原則』を活用したBHR推進メカニズムの分析を行い、グローバル・ガバナンスを通じたBHR推進は、アフリカでどのように機能したか、課題は何かについて議論した。その結果、アフリカにおけるグローバル・ガバナンスを通じたBHRの推進メカニズムは、ステークホルダーの中でも特に、村人等の地域社会のステークホルダーの関与が重要であることを確認した。また、先進国とは異なり、様々な課題があるアフリカにおいて、企業が、地域社会のステークホルダーと関与し、BHRを推進する上で対峙する困難について先行研究から議論した。 2021年度の研究を進めるにあたっては、既存研究の机上調査を行った。また、アフリカの実態を確認するために、アフリカ現地で聞き取り調査を行い、農村部における企業とコミュニティのエンゲージメントについての情報収集を行った。 研究成果の発表としては、国内学会や国際シンポジウムの場で検討中の研究内容を発表し、議論を深めた。これらの機会を通じ、研究者や実務家から貴重な助言を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度は、既存研究の分析を主に研究成果をまとめた。年度の比較的早い段階で現地調査を行い、現地での調査を複数回、複数の国で分けて行うことを想定した計画を立てていた。しかし、Covid19の影響で、渡航計画や生活状況など、様々な点に影響が出たことによって、現地調査等を想定通りに進めることが出来なかった。そのため、研究計画の進捗具合にやや遅れが出てしまっている。その他の研究計画については、予定通りに先行研究の調査を行い、研究の基礎となる部分を固める作業を行い、学会で発表し、論文投稿を行うことが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の研究結果より、グローバル・ガバナンスが前提とする条件が整わないアフリカの地においては、国連『ビジネスと人権に関する指導原則』(以下、GPs)が推進する企業の人権尊重の実現には、地域社会のステークホルダーの関与が重要であることを確認した。GPsのビジネスと人権の推進メカニズムをうまく機能させるためには、先ず地域社会のステークホルダーの関与を増やすことを検討しなければならない。よって、本年度は、企業の人権尊重を実現するために必要な地元のステークホルダーの関与を、アフリカで増やすための手法を明らかにする研究を進める。具体的には、企業の人権尊重をアフリカの地で推進するために必要な、企業と地域社会の双方にとって有意義なステークホルダー・エンゲージメントの在り方と、どのように実現できるかについて文献調査や事例研究の分析を進める。事例研究においては、机上調査に加えて現地調査で得られた定性的調査データを使う。Covid19等の状況が許せば調査対象国を訪問し、新たに聞き取り調査を行いたい。研究結果は、学会で発表し、論文投稿を行う。
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