2021 Fiscal Year Annual Research Report
窒素飢餓応答における植物特異的なDof転写因子の分子機能の解明
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21J14077
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
卓 梦娜 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Keywords | 窒素欠乏 / Dof転写因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は、ほぼ計画通りに研究が進み、期待していた成果を得ることができた。初年度の進捗は以下の通りである。 (a) クロマチン免疫沈降法(ChIP)およびトランスフェクションアッセイにより、NIGT1タンパク質がDof1.7のプロモーターに直接結合することでDof1.7の発現を抑制していることが示唆され。 (b) Dof1.7の機能を明らかにするために、Dof1.7のノックアウト株および過剰発現株の表現型解析を行い、窒素欠乏条件で起こる葉の老化がDof1.7の過剰発現により遅延し、Dof1.7ノックアウト変異により促進されることを見いだした。 (c) Dof1.7のKO変異体を用いてDNAマイクロアレイ解析を行い、Dof1.7変異により硝酸イオンの取り込みに関連するいくつかの遺伝子、特に高親和性硝酸輸送体遺伝子(NRT2.1、NRT2.4およびNRT2.5)に変化が見られることが分かった。 (d) Dof1.7とNIGT1.1のノックアウト株および過剰発現株における上記3つのNRT2遺伝子の経時発現変化を解析し、窒素欠乏時にDof1.7とNIGT1.1によって3つのNRT2遺伝子が異なって制御されることを見出した。さらに、3つのNRT2遺伝子の空間的な発現パターンを解析したところ、Dof1.7とNRT2.5の発現量はともに若い側根の先端部分で多く、特に若い側根においてDof1.7-NRT2.5の制御カスケードが硝酸イオンの獲得に重要であることが示唆された。 (e) dof1.7変異株および過剰発現株における硝酸イオンの吸収効率を15N標識KNO3を用いて解析し、Dof1.7が根における硝酸イオンの取り込みを促進することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
私の1年目の研究計画では、(i)Dof1.7のノックアウト株と過剰発現株の窒素欠乏条件での表現型解析、(ii)dof1.7変異株を用いたトランスクリプトーム解析および(iii)NIGT1転写因子がDof1.7の発現を直接抑制するかを検証、を行う予定でであったが、これらは予定通り完了した。 そこで、これらの実験に加えて、(iv)Dof1.7とNIGT1のノックアウト株と過剰発現株における3つのNRT2遺伝子の継時発現変化の解析、(v)窒素不足条件におけるDof1.7と3つのNRT遺伝子の空間的発現の解析、および(vi)Dof1.7のノックアウト株と過剰発現株における硝酸イオン取り込み解析を行なった。そのため、本研究課題は当初の計画よりも順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目には、Dof1.7が3つの高親和性硝酸輸送体遺伝子(NRT2.1, NRT2.4、NRT2.5)の発現を直接調節しているかを検証するために、クロマチン免疫沈降法(ChIP)およびトランスフェクションアッセイにより調べる。並行して、この一連の研究の原稿を執筆し、高ランクの国際ジャーナルに掲載する予定である。
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