2021 Fiscal Year Annual Research Report
Performance Enhancement of Thermo-electrochemical Conversion Integrated with Forced Convection Cooling Through Investigation of Working Fluid Property
Project/Area Number |
21J14183
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
池田 寛 東京工業大学, 工学院, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
|
Keywords | エネルギーハーベスティング / 強制対流冷却 / 電気化学 / 熱電変換 / 熱電気化学発電 / コバルト錯体 / 熱流体シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの申請者らの研究によって,溶質の物質輸送が発電を制限していることが明らかになっていた.2021年度は,発電性能向上のために作動流体の低粘度化による物質輸送の改善を着想し,その溶媒として低粘度高沸点溶媒であるγ-ブチロラクトン(沸点204 ℃,粘度1.7 mPa・s@25 ℃)を使用した.発電を担う溶質である酸化還元対は,高い大気安定性と高い熱起電力係数が報告されているコバルト錯体(昨年度と同一)を使用した. 高い熱安定性とイオン伝導性を有するイオン液体の不使用は,200 ℃程度の排熱面に対する熱安定性の低下や,溶液抵抗の増大等の問題が予想された.しかし実験の結果,炎を3分間直接照射しても着火しない難燃性,及び初報と同等の低い溶液抵抗を見出した.酸化還元対が高濃度(溶解度0.47 mol/L)に溶解した結果,支持電解質としても作用した結果と考えられる. 粘度は初報に対して1桁以上の低下を達成し,発電特性を示す短絡電流が10倍以上増大した.これは物質輸送特性の改善による抵抗の低下を示している.被冷却物を模した高温電極が170 ℃,作動流体の流量が1.1 mL/sにおける最大発電量は切手大の電極で6 mW,発電密度に換算して10 W/m2に達した.実用上有意義な発電のデモンストレーションとして,セル直列なしで緑色LED8灯の連続点灯(市販のDC-DCコンバータを使用)やファンモーターの連続回転を行った. 冷却性能は,上述の条件で100 Wの除熱を行い,熱伝達率1,100 W/(m2 K)に達した.液体の強制対流における熱伝達率が25~20,000 W/(m2 K)になることから,本セルの冷却性能は高いといえる. 本成果は査読付国際学術誌にオープンアクセスで公表した.また,査読付国際会議及び査読無し国内会議で発表し,第18回日本熱電学会学術講演会においては優秀講演賞を受賞した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
作動流体の低粘度化の方策として,有機溶媒の使用が第一に考えられた.一方,有機溶媒の使用は沸点によって使用温度が制限されることから,本技術が想定する200 ℃程度の排熱面への適応が困難となる問題があった.そこで本研究では,低粘度かつ高沸点な溶媒として沸点200 ℃以上のものを検討した.さらに,熱安定性とイオン伝導性の向上を目的としてイオン液体に低粘度高沸点溶媒を混合した溶媒での実験を行ってきた.その結果,予想に反して低粘度高沸点溶媒であるγ-ブチロラクトン(GBL)のみを使用した場合が最大の性能を有することが明らかになり,GBLを溶媒とした作動流体で,発電性能の溶質濃度依存性を解明した.その結果,最適濃度の存在を見出し,作動流体の探索を完了した.判明した作動流体を用いて一定温度条件で実験を進め,発電性能及び冷却性能のカソード温度依存性と作動流体流量依存性を解明した. 得られた成果を論文にまとめて公表し,口頭発表でも発表してきた.並行して,申請者の博士論文執筆と修了に関する審査を進め,学位を取得した. 一方で,スケールアップセルの創出は設計検討段階であり,今後進めていく必要がある.
|
Strategy for Future Research Activity |
スケールアップセルの設計を進め,その創製によってスケールアップに伴う現象解明を目指す.特に,実社会適用を想定した設計を,熱流体シミュレーションとともに行うことで,本技術の社会実装に向けた実現性をより高めていく.具体的には,実社会で使用され,積極冷却の要求とセンシング等の小規模電力の需要が共存するシステムに対する適用を想定し,冷却性能を著しく低下させずに発電性能を最大化する流路形状を探索していく.
|
Research Products
(8 results)