2021 Fiscal Year Annual Research Report
八員環構築を要とした周期性三次元ナノカーボンの精密合成
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21J14284
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松原 聡志 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Keywords | ナノカーボン / 量子化学計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は八員環構築反応の機構解明研究と周期性三次元ナノカーボンの合成検討を行った。これまでに開発した八員環構築反応による周期性三次元ナノカーボンの合成を検討したが、基質適用範囲や立体選択性が乏しいことが問題となり目的とする構造をもつナノカーボンを合成することができなかった。そこで八員環構築反応の機構を解明することでこれを解決しようと試みた。これまでに得られた実験結果から推測した反応機構について量子化学計算を用いてその妥当性を検討した。しかし計算手法として頻用されるDFT法を用いた場合は実験結果を定量的に再現するエネルギー値を得ることができなかった。具体的には環化クロスカップリングで発現するクロス選択性を定量的に再現することが困難となった。そこでより適切なエネルギー値を与える計算手法について精査を行った。その結果、高精度なエネルギー値を効率的に与える波動関数計算手法を見出し(DLPNO-CCSD(T))、これを円滑に実行できる研究環境の整備を行った。波動関数計算を用いて計算を実行した結果、実験結果をかなり定量的に再現できるエネルギー値を得ることができた。これによって反応中間体や遷移状態の構造や軌道について詳細な情報を得ることができ、クロス選択性の起源も解明しつつある。さらに得られた知見をもとに、周期性三次元ナノカーボンの合成に欠かせない、八員環構築反応の基質適用範囲の拡大や立体選択性の向上について検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
八員環構築反応の基質適用範囲や立体選択性が乏しいことが問題となり周期性三次元ナノカーボンを合成することができなかった。機構解明研究によりこれを解決することを目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き八員環構築反応の機構解明研究に取り組む。機構解明研究により明らかとなる触媒サイクルをもとに八員環構築反応の基質適用範囲の拡大や立体選択性の向上を検討し、周期性三次元ナノカーボンの合成を目指す。
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