2021 Fiscal Year Annual Research Report
ゲート型吸着材料を活用した新規吸着分離プロセスの構築
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21J14297
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
坂中 勇太 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Keywords | ソフト多孔性錯体 / ゲート吸着 / 圧力スイング吸着 / 速度論 |
Outline of Annual Research Achievements |
ゲート型吸着材料を活用したプロセスを検討していくには,プロセスシミュレーションが不可欠である。実験からは得られない吸着カラム内部の吸着量や温度の分布情報を得た上で,カラムのサイズやガスの流量などを自在に変更した検討からゲート型吸着材料を最大限活用するプロセスを提案することが本研究の目的である。一方で,ゲート型吸着材料の物性を正しく反映した吸着カラムのモデル化はできていないのが現状であり,特にモデルに不可欠な速度論に関しては測定方法すら定まっていない現状がある。そこで本研究では,ゲート型吸着材料の構造変形速度に着目し,測定・解析手法の確立を目指した。100回以上の測定を繰り返した結果,物性を反映した再現性のある測定値を得るために必要な前処理方法を始めとする測定手法を確立した。さらには,その結果を整理することで,これまで速度測定で日常的に行われてきた任意のモデルを試行錯誤的に当てはめるのではなく,一定速度での昇圧測定を組み合わせた新規手法を開発し,実験結果からモデルを導き出すことに成功した。導き出された速度論モデルには大きく二つの特徴が表れた。1. 平衡転移圧と環境圧力との差圧が転移の推進力となること,2. 転移した結晶自身が触媒のように作用することで転移を加速させるモデルである自触媒反応モデルに従うこと,の二つである。1は,従来の吸着速度論モデルによく用いられているFickの拡散則を基にした考え方とは異なっており,構造転移を伴うゲート型吸着材料の転移速度を決定づける重要な因子と言える。2は,対象としたゲート型吸着材料であるELM-11の二次元格子が積層した構造に由来したものと予想される。転移した構造では格子内部にガスが吸着し,その格子は上下の格子と接続されている。そのため,転移した構造は転移していない隣接層の転移を誘起していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画通り,ゲート型吸着材料の速度モデルの構築に成功している。また,プロセスシミュレーションに必要な実験・シミュレーション系についても挙動のよくわかっている従来型の吸着剤を用いた妥当性検証を済ませている。
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Strategy for Future Research Activity |
ゲート型吸着材料を活用した圧力スイング吸着法のプロセスシミュレーションの前段階として,まずはゲート型吸着材料を用いた破過曲線測定実験とそのシミュレーションによってモデルの妥当性を確かめる。破過曲線測定に必要な粉末試料やそのペレット成形体の準備は既にできており,測定と計算に取り掛かる準備は整っている。プロセスシミュレーションではこれまでにモデルケースとして計算を進めていた従来型の吸着材料との比較を行い,ゲート型吸着材料の優位性がどこにあるのか確かめる。また,ゲート型吸着材料に特有のステップ状の吸着挙動を活かした圧力スイング吸着法の操作論へと展開する。
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Research Products
(6 results)