2021 Fiscal Year Annual Research Report
新規ペロブスカイト型酸窒化物を用いた高性能なアンモニア分解触媒の開発
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21J14347
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小笠原 気八 東京工業大学, 物質理工学院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Keywords | アンモニア分解 / 水素エネルギー社会 / Ni触媒 / 混合アニオン化合物 / 酸窒化物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では, Niを活性金属とした高性能なアンモニア分解触媒を開発するために, ペロブスカイト型構造を持つ新規酸窒化物を合成しアンモニア分解反応に対する促進効果や酸窒化物の表面における反応機構の解明を目的としている. 本年度は, 研究計画に従い新規ペロブスカイト型酸窒化物の開発を試みた.当初はアルカリ金属アミドを前駆体として利用する予定であったが, BaH2とTiO2を固相反応させることによってヒドリドイオン(H-)を高密度に含有する水安定なh-BaTiO3-xHxの合成に成功した.本材料を窒素気流下で焼成するとH-イオンが窒素イオン(N3-)に置き換わりh-BaTiO(3-x)Nyを得ることができた。本材料にNiを担持した触媒のアンモニア分解活性を評価したところ, BaTiO3を担体としたNi触媒に比べて著しく高い触媒活性を示した. また, 格子窒素の導入により触媒動作温度が約120℃低温化することがわかった. さらに,Niを担持していないh-BaTiO3-xNyがアンモニア分解活性を示すことから担体の表面に活性サイトが存在すると考えられる.赤外分光法や同位体ガスを用いた実験により, 酸窒化物に含まれる格子窒素がアンモニア分解反応に寄与しており金属-担体の界面におけるアニオン欠陥サイトにおいてアンモニア分子が活性化されることが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では想定していなかった水安定なh-BaTiO3-xHxの合成に成功し、本物質を前駆体として高密度なN3-/アニオン欠陥を持つh-BaTiO3-xNyを得ることができたため。また、h-BaTiO3-xNyをNi触媒の担体材料とすることで従来の酸化物担持触媒では実現できなかった360-560℃で動作する高性能な触媒を開発することができたため。さらに、触媒表面における反応中間体の観察に成功し反応メカニズムの解析が順調に進むと期待できるため。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、開発した触媒表面における反応機構の解析を進めていくとともに他の遷移金属を担持した触媒の活性も調査したと考えている。また、h-BaTiO3-xNyに対して異種元素をドープすることによって格子窒素の反応性を高めさらに優れた触媒の開発にチャレンジしたいと考えている。
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