2022 Fiscal Year Annual Research Report
揮発性オキシリピン生成機構から紐解く担子菌の生存戦略
Project/Area Number |
21J14407
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
手嶋 琢 山口大学, 創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Keywords | 1-オクテン-3-オール / 担子菌 / ウシグソヒトヨタケ / リノール酸10(S)ヒドロペルオキシド |
Outline of Annual Research Achievements |
菌類はさまざまな香気成分を生成し、自身の生存戦略に活用している。菌類主要香気成分のひとつである1-オクテン-3-オールの生合成経路は約40年前に生合成経路が提唱されたが、その関連酵素遺伝子は未同定であった。 本研究では、モデル担子菌ウシグソヒトヨタケから1-オクテン-3-オール生合成候補遺伝子Ccdox1を単離した。当該遺伝子を遺伝子相同組換えにより破壊した株 (ΔCcdox1株) において、1-オクテン-3-オール生合成が完全に抑制された。昆虫細胞を用いて作成した組換え酵素CcDOX1は、リノール酸を基質とし提唱されている生合成経路の中間生成物、リノール酸10(S)ヒドロペルオキシドを特異的に生成した。よってCcDOX1が、1-オクテン-3-オール生合成経路の1段階目の脂肪酸酸素添加を担う酵素を担っていることを担子菌で初めて実証した。また、引き続く開裂反応を担う酵素はウシグソヒトヨタケのミクロソーム画分に局在している非常に不安定な菌類独自の酵素であると考えられた。そのため、酵素遺伝子の同定には更なる条件検討が必須である。 担子菌1-オクテン-3-オールの生理・生態学的意義の解明のため、菌食者を用いたバイオアッセイを行った。菌食者はΔCcdox1株よりも1-オクテン-3-オール生成する野生株により誘引され、より好んで摂食する傾向がみられた。つまり、菌類と菌食者の軍拡競争において現在1-オクテン-3-オールは、菌食者の食料探索の鍵因子のひとつとして機能していることが示唆された。
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Research Progress Status |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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[Journal Article] Coprinopsis cinerea dioxygenase is an oxygenase forming 10(S)-hydroperoxide of linoleic acid, essential for mushroom alcohol, 1-octen-3-ol, synthesis2022
Author(s)
Takuya Teshima, Risa Funai, Takehito Nakazawa, Junya Ito, Toshihiko Utsumi, Pattana Kakumyan, Hiromi Mukai, Toyoshi Yoshiga, Ryutaro Murakami, Kiyotaka Nakagawa, Yoichi Honda, Kenji Matsui
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Journal Title
Journal of Biological Chemistry
Volume: 298(11)
Pages: 10257 (1-13)
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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