2021 Fiscal Year Annual Research Report
Emigration, Education, and Life Course: the Drive to Contribute to the Mother Country of Sudanese Migrants
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21J14454
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
黒川 智恵美 広島大学, 国際協力研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Keywords | 頭脳流出 / 頭脳流入 / スーダン移民 / スーダン難民 / スーダン人高度人材 / 母国貢献意識 |
Outline of Annual Research Achievements |
新型コロナウイルス感染症に係る海外渡航規制のため、2021年度に計画していた海外現地調査を2022年度に繰り越し、5月から9月にかけて実施した。エジプト調査では、新たなインフォーマントとの半構造化インタビューおよびスーダン人学校訪問、移民コミュニティの集まりに参加した。またスーダンにおいては、新たなインフォーマントとの半構造化インタビューおよびスーダン移民に関する統計データをスーダン海外労働者事務局より入手した。両国調査において、研究の核となるインタビュー調査だけでなく、インフォーマントらの生活環境や教育現場を調査することで、オンラインインタビューで聞いていた昨今のエジプトにおけるスーダン人移民、難民数の増加といった事象やそれに関するスーダン移民、難民の生活環境の変容などを実際に確認することができた。また、昨年度にオンラインインタビューを実施したインフォーマントと面会し、前回の回答事項の確認や理由を深堀することができた結果、研究内容をより深めることができた。さらに、変容する彼らの心情を、オンラインと対面インタビュー時点において比較することができ、本研究結果として重要な示唆である「スーダニーズネス」が揺れる様相を分析することができた。 また現地調査において、日本学術振興会カイロ研究連絡センターを訪問して研究者らとの交流を深め、現地の在留邦人を対象とした定例懇話会で研究発表を実施し、他領域の研究者や多様な職種の参加者と意見交換を行い、分析に活かすことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染症による渡航規制のため延期した2021年度に計画していた海外現地調査は、2022年度に繰り越し、実施することができた。現地を訪問することで、オンラインインタビューや日本でのフィールドワークによって確認された個人とスーダン社会との関係性の深さが意識的往還型人材を形成するという考察がエジプトのスーダン移民、難民そして帰還民にも共通していることが明らかとなり、現在更なる分析を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで収集することができたスーダン往還移住民(エジプトおよび日本在住の移民、難民、そして両国からの帰還民)計81名分のデータを用いて、研究目的である〈国外で経験を積み、将来的にスーダンに戻って母国に貢献したい〉と考える「意識的往還型」人材のライフコースと教育経験を明らかにすることを目指し、分析および論文の執筆を行う。分析は、インフォーマントらのナラティヴを基に、移住および帰国の動機と背景、母国スーダンに貢献したいと考える原動力、意識的往還型人材が持つと想定し、〈スーダンへの貢献意識・情意〉であると規定する「スーダニーズネス」の揺れる要因について明らかにしていきたい と考えている。研究成果は博士論文にまとめるだけでなく、英文ジャーナルへの投稿を予定している。
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