2021 Fiscal Year Annual Research Report
重力場変動観測による地震即時検知に向けたねじれ振り子型重力勾配計の開発
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21J14455
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高野 哲 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Keywords | ねじれ振り子 / 低温 / レーザー / 干渉計 / 地震 / 地震速報 / 重力勾配 / 重力波 |
Outline of Annual Research Achievements |
ねじれ振り子型重力勾配計を用いた地震の即時検出に向けて,前年度までに測定に用いる光検出器や光学素子を接着する接着剤の低温下での性質を評価し,本研究で使用可能なものの選定を行った.本年度はモノリシック光学系を構築するアセンブル装置の開発を行い,選定した接着剤を用いたアセンブリ手法の確立を進めた.その他,実際の角度変動の読み取りに用いる干渉計構成について,通常の光学定盤上に構築し検討を行った.これらの詳細について,以下に述べる. モノリシック光学系とは,基材の上に光学阻止を直接貼り付けた光学系である.通常の光学素子ホルダーを用いた光学系と異なり,モノリシック光学系は接着後の調整が不可能なため,接着時の位置・角度調整を精密に行う必要がある.そこで,精密ステージと電動モーターを組み合わせた調整機構をもつジグを使用したアセンブリ装置を製作し,性能調査を行った.その結果,光学素子をジグから取り外す際に角度がずれる問題が生じたため,設計の見直しを余儀なくされた. その他,当初の研究計画には含まれてはいなかったが,角度変動を読み取る干渉計の構成について,光学上盤上に構築して検討を行った.本研究では,試験マスの両端に構成された2つの光共振器を2台のレーザー光源に対して制御し,その制御信号の差からねじれ回転を読み取るが,その際にレーザー光源の周波数雑音が問題となる.本研究では共振器へ入射する前の光をピックオフし,2つの光のビート信号から直接差動変動を読み取ることでレーザー光源の周波数雑音の寄与を低減する手法を考案し,実証を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では本年度中にねじれ振り子懸架系の試験を行う予定であったが,ねじれ振り子を懸架するシリコンファイバーの入手が遅れ,試験を行えなかった.これは,新型コロナウイルス端を発した半導体不足の影響を受け,シリコンファイバーの納期が当初の予定よりも大幅に遅れたためである. これに対して,モノリシック光学系の開発に関しては必要な物品が当初の予定通りに入手でき,概ね計画通りに進めることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
モノリシック光学系を組み立てるアセンブリ装置の改良を行い,角度精度を向上させる.その後,モノリシック光学系の構築を実際に行う.次にモノリシック光学系を4 Kの低温に冷却して,アラインメントの安定性や読み取り雑音などの性能評価を行う. また並行してねじれ振り子を懸架するシリコンファイバーの試験を行い,4 Kでの低温化での機会損失の測定を行う. その後,懸架系とモノリシック光学系を統合し,ねじれ振り子の精密測定を低温下で行う.目標感度 10^{-15} /√Hz達成に向けて雑音源の特定と低減を行い,地震検出に備える.
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