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2021 Fiscal Year Annual Research Report

正常細胞が持つがん防御機構を強化する新規抗がん化合物の探索と作用機序解析

Research Project

Project/Area Number 21J14495
Research InstitutionWaseda University

Principal Investigator

青山 愛  早稲田大学, 理工学術院, 特別研究員(DC2)

Project Period (FY) 2021-04-28 – 2023-03-31
Keywords化合物スクリーニング / 細胞間作用
Outline of Annual Research Achievements

正常細胞にはがん細胞の増殖を制御する仕組みが備わっているが、これが破綻してしまうとがん細胞は正常な組織を破壊しながら増殖を続け腫瘍を形成する。我々は、がん細胞のモデルとして、ドキシサイクリンにより変異型KRAS遺伝子を誘導発現させると形質転換する細胞(以下、KRAS発現細胞)を用いて、正常細胞との混合培養を行ない、正常細胞への増殖抑制効果は示さないが、KRAS発現細胞を正常細胞と共培養した際にのみ、KRAS発現細胞の増殖を抑制する化合物のスクリーニングを行なってきた。通常条件で、KRAS発現細胞は正常細胞を押しのけるようにして増殖して細胞塊を形成するが、本研究で同定した化合物を添加するとその細胞塊の形成が抑制される。2021年度は、(1) 獲得化合物の標的タンパク質のアフィニティー精製及び質量分析による同定、(2) 獲得化合物添加時の正常細胞・KRAS発現細胞での発現変動遺伝子の解析を行なった。(1)について、担体と化合物の結合部位を検討するため、獲得化合物のうち一つについて、20種類の類縁化合物の活性評価を行なった。その結果、獲得化合物と同程度の活性を保持する類縁体や喪失する類縁体を得ることができた。現時点で抗がん作用との関連が期待される標的タンパク質の同定には至っていないが、類縁体の解析から得られた構造活性相関に関する知見も活用しながら、引き続き質量分析のシステムを変えて検討を進めている。(2)について、獲得化合物を添加した際に正常細胞側で特異的に変動する遺伝子を複数同定することができた。また、トランスクリプトーム解析に加えて、ウエスタンブロッティングによるシグナル伝達経路の解析から、化合物処理時に正常細胞内で特異的に活性が変化するタンパク質を見出した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

2021年度は、獲得化合物の抗がん作用との関連が示唆される複数の現象を見出すことができた。まず、発現変動遺伝子の解析からは、それぞれの獲得化合物は全く異なる用途・標的を持つことが報告されてきた化合物であるにも関わらず、各化合物を添加した際に共通して、正常細胞内で変動する遺伝子を同定することができた。エンリッチメント解析の結果、これら発現変動遺伝子は特定の細胞機能に関与することが明らかになった。さらに、その発現変動はKRAS発現細胞内では確認されなかったことから、化合物処理によって正常細胞の性質が変化することが、獲得化合物が持つ抗がん作用において重要である可能性が示唆された。以上の結果は、獲得化合物の作用機序の解明につながることが期待される。追加して、ウエスタンブロッティングを用いた化合物が制御するシグナル経路の探索から、正常細胞側で化合物添加時に特異的にタンパク質Xのリン酸化が低下することを見出した。さらに、獲得化合物の類縁化合物を用いて評価した結果、タンパク質Xのリン酸化の低下が、化合物が持つ抗がん作用の有無と相関する可能性を示すデータも得ることができた。また、2021年度の研究計画には記載していなかったが、KRAS発現細胞が正常細胞を押しのけながら細胞塊を形成する過程をライブイメージングによって観察することにより、獲得化合物が正常細胞の細胞運動を変化させていることを観察した。この結果から、獲得化合物による細胞運動の制御が抗がん作用に関与する可能性が想定された。

Strategy for Future Research Activity

2021年度の作用機序解析を踏まえ、(1)獲得化合物がどのタンパク質と特異的に結合するのか、(2) 獲得化合物が正常細胞のどの遺伝子を制御するのか、について検討を進める。具体的には、前年度から引き続き、アフィニティー精製による獲得化合物の標的タンパク質の同定と、発現変動遺伝子のノックダウン及び強制発現による現象への関与の検討を行なう。(1)アフィニティー精製については、これまでの手法を一部変えて試みる。具体的には、獲得化合物を共有結合させたアフィニティー担体にタンパク質を結合させたのち、獲得化合物の添加によって競合的に溶出させ、標的タンパク質の同定を進める。質量分析の手法についてもダイレクトショットガン解析法などに変えて検討する予定である。(2)発現変動遺伝子解析については、現時点で細胞内での発現量や化合物添加による発現変動の大きさ、個々のタンパク質の機能などの面から候補とする遺伝子の抽出は完了しており、今後、正常細胞への候補遺伝子の強制発現やノックダウン実験を進め、抗がん活性との関与を明らかにしていく。また、昨年度の検討から獲得化合物による細胞運動の制御が、抗がん作用と関連していることを示唆するデータを得たため、標的タンパク質や発現変動遺伝子の検討を行う際には、細胞運動への関与が報告されている因子かどうかを指標として着目する因子を選抜したり、実際に強制発現またはノックダウンした細胞の運動性をタイムラプス観察で評価したりすることによって、現象との関連の検討を進めていく予定である。

  • Research Products

    (1 results)

All 2021

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] A dopamine D2 receptor antagonist suppresses oncogenic focus formation in a receptor-independent manner2021

    • Author(s)
      青山愛、藤元次郎、平野弘之、渡邉信元、長田裕之、仙波憲太郎
    • Organizer
      第80回日本癌学会学術総会

URL: 

Published: 2022-12-28  

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