2021 Fiscal Year Annual Research Report
Si基板上半導体薄膜光集積回路の高効率と高温化動作に関する研究
Project/Area Number |
21J14548
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
FANG WEICHENG 東京工業大学, 工学院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Keywords | 表面活性化接合 / 熱抵抗 / 薄膜DFBレーザ / InPリブ導波路 / 化学機械研磨 / 薄膜集積光回路 |
Outline of Annual Research Achievements |
大規模集積回路の発熱や遅延の問題を解くオンチップ光配線の実現に向けて、我々はIII-V族半導体で構成するモノリシック集積による薄膜光配線を提案している。本研究では、新しいウェーハ貼り付けを用い、Si基板上光源-導波路-受光器の基本集積光回路の高効率と高温動作の実現に取り組み、本年度は低熱抵抗薄膜レーザの実現と高効率薄膜光回路の検討を目標として、以下の研究成果を挙げた。 (1)低熱抵抗を有する薄膜レーザ。化学機械研磨とa-Siナノ薄膜を介した表面活性化接合(SAB)を使って薄膜レーザを作製した。ヒートシンクの温度を調節し、薄膜レーザの温度特性を評価した。SAB薄膜ファブリペローレーザは同じ共振器長を持つBCB貼り付け構造と比べ、高い光飽和電流があり、50%低い熱抵抗が得られた。最高発振温度は95℃まで上がった。GaInAsP導波路を集積したSAB薄膜分布帰還型(DFB)レーザ(共振器長:70 μm)の熱抵抗は510 K/Wまでの低減を実現した。高温動作のため、回折格子のブラック波長ディチューニング効果を利用し、110℃での連続波(CW)発振を実現した。 (2)低損失InPリブ導波路。導波路損失を低減するため、InPリブ導波路の設計と作製を行った。グレーティングカプラーを通して素子単体の導波路損失を評価した。その結果、3.6 dB/cmの低損失InPリブ導波路を実現した。 (3)高効率薄膜集積光回路。表面活性化接合を用い、リッジ構造を有する低熱抵抗薄膜DFBレーザ、GaInAsP導波路、薄膜p-i-n受光器からなる薄膜集積光回路を作製し、その静特性を評価した。光源は低しきい値電流(0.22 mA)があり、受光器側は従来構造の7倍くらい(1 mA)の最大光電流が得た。また、I(PD)-I(LD)のスロープ効率は従来の2倍程度を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の計画は、薄膜レーザの熱抵抗の低減と高効率薄膜光集積回路の作製であった。化学機械研磨とa-Siナノ薄膜を介した表面活性化接合(SAB)のプロセス開発を成功し、デバイスまで進みました。その結果、熱抵抗が従来の半分までに低減するのを実証した。薄膜DFBレーザの110℃高温発振も達成した。導波路損失を低減するため、InPリブ導波路の設計と作製をし、3.6 dB/cmの低損失を達成した。しかしながら、今回得られた値は理論値の1 dB/cmと比べてさらに改善の余地がある。薄膜集積光回路について、作製したデバイスで1mA以上の光電流が受光器側から得られ、I(PD)-I(LD)のスロープ効率は従来の2倍程度を得ることができた。 このような意味で、おおむね順調に進展していると思われる。以上の進歩状況から、次年度では薄膜光集積回路の高効率と高温動作を達成できると見込まれる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究で、表面活性化常温接合を導入し、薄膜レーザの低熱抵抗および高温発振を得ることができた。また、低損失InPリブ導波路の作製と薄膜光集積回路の静特性改善を得られた。今後は薄膜光集積回路の高効率と高温動作を目指す。課題としてはInPリブ導波路を集積した薄膜光集積回路のプロセス検討と回路の動特性評価。また、InPリブ導波路の側面ラフネス低減により理論値に近い損失特性を実現することを目標とする。
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