2022 Fiscal Year Annual Research Report
データ駆動型科学による合理的な触媒設計に基づく不斉反応系の探索
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21J14551
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中西 大志 東北大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Keywords | 不斉触媒反応 / データ科学 / ジアステレオ収束的合成 / Diels-Alder |
Outline of Annual Research Achievements |
不斉触媒反応は、鏡像異性体の片方のみを選択的に作る反応であり、過去の薬害であるサリドマイド事件などを顧みればその重要性は明らかである。しかし、このような不斉触媒反応開発には従来、研究者の多大な労力をかけた試行錯誤が必要とされ、非常に効率が悪い問題がある。そこで本研究では、実験的、計算化学的に得られたデータを有効に活用することで、不斉触媒反応開発の効率化に取り組んでいる。本年度は、3つの課題に対して研究を行った。 初めに、実験的なアプローチでは最適触媒が見出せなかった、複雑なメカニズムで進行する第二級アルコールの速度論的光学分割反応において、データ駆動科学的アプローチを用いた解析から最適なキラルリン酸触媒の設計を行った。その結果、計算上では高い不斉収率を示す触媒の設計に成功した。現在その機能評価に取り組んでいる。 次に、炭素-炭素結合形成反応として有用性が非常に高く、古くから広く研究されている不斉Diels-Alder反応において、endo/exo付加の選択性をスイッチングする不斉触媒反応の開発を行った。現在までに、計算化学から得られたデータを適切に解釈することで、endo/exo選択性を逆転することに成功しており、光学活性シクロヘキセン骨格をジアステレオダイバージェントに合成する足掛かりを掴んでいる。本研究は、ジアステレオ収束的合成法を新たなアプローチから合理的に設計することができることを示す先駆的な例である。 また、同様のDiels-Alder反応をモデル反応として、不斉触媒反応系の合理的設計法に関する研究を行っている。不斉触媒反応の探索研究は研究者の経験の直感に頼った方法に依存しており、その合理的設計アプローチの探索は急務である。今回、水素結合に着目したアプローチを展開することで新たな設計法を提供した。
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Research Progress Status |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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