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2021 Fiscal Year Annual Research Report

ため池堤体の細粒分流出を再現した実験システムの構築と流出進行メカニズムの解明

Research Project

Project/Area Number 21J14582
Research InstitutionYamaguchi University

Principal Investigator

石丸 太一  山口大学, 創成科学研究科, 特別研究員(DC2)

Project Period (FY) 2021-04-28 – 2023-03-31
Keywordsため池 / 内部侵食 / 細粒分流出 / 濁度 / 盛土構造物 / 地盤防災
Outline of Annual Research Achievements

本研究課題の目的は、細粒分流出現象を再現するための実験システムを構築し、細粒分流出の発生・進行メカニズムを解明することである。
当該年度は、細粒分流出現象を再現するための円筒型カラム通水装置を作製し、模型地盤の上載圧の有無や大きさが細粒分流出に与える影響を調べた。
また、新たな実験システムを構築するにあたり、細粒分流出の評価指標の一つとして排水濁度に着目した結果、細粒分流出実験で得られる排水の濃度―濁度関係が土粒子排出量の変動だけでなく、排出土粒子径の変動も反映しており、実験条件によってユニークに変化していることが分かった。この発見により、これまでの細粒分流実験では捉えることが困難であった流出土粒子径の変化を、排水濁度から分析することが出来るようになった。排水の濃度―濁度関係に着目して、土の種類、細粒分含有率、飽和度、密度や地盤に作用する上載圧が細粒分流出に与える影響を調べた結果、細粒分流出の進行とともに流出する土の粒径が逐次変化していることが分かった。さらに、供試体の飽和度が高く、土粒子の排出量が多いほど、排出土は粒径が大きい土粒子の比率が多い粒度組成になるという関係がみられ、排水の濃度―濁度関係が 浸透作用を受けた土の内部侵食の進行の度合いを表すパラメータとして有効なものであることを示した。
模型地盤の上載圧が細粒分流出に与える影響を調べた結果、上載圧がある場合、上載圧を付与していない時と比べて、土粒子の侵食量が低下することが分かった。また、土粒子の侵食量が多くなる特定の密度、透水条件で、上載圧が大きいほど、排出土粒子の粒径が小さくなる傾向が確認された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

当該年度の研究計画では、1)細粒分流出現象を再現するための円筒型カラム通水装置の作製し、実験システムを構築すること、2)模型地盤の上載圧の有無や大きさが細粒分流出に与える影響を調べ、細粒分流出の発生しやすさを明らかにすることの2点を目標としていた。
新たに作製した円筒型カラム通水装置は、供試体の締固めや飽和化、上載圧の付与、排水の連続的な回収等、当初予定していた性能を満足するものとなった。さらに、排水の濃度と濁度を同時に測定し、細粒分流出が進行中の両者の関係を経時的に追跡することで、これまで細粒分流出実験で捉えることが困難であった流出土粒子径の変化を分析することができた。排水の濃度―濁度関係を実験の評価項目に組み込むことで、今までにない新たな観点から内部侵食の進行の度合いを評価することができる。
模型地盤の上載圧が細粒分流出に与える影響を調べた結果、上載圧がある場合、上載圧を付与していない時と比べて、土粒子の侵食量が低下することが分かった。また、上載圧の大きさによって、細粒分流出実験で得られる排水の濃度―濁度関係がユニークな挙動となることを明らかにした。その他、細粒分含有率、細粒分の種類、浸透条件が細粒分流出に与える影響も調べており、上載圧と同様に、細粒分流出実験で得られる排水の濃度―濁度関係に影響を与えることが分かった。
また、研究期間後半に予定していた水位変動が細粒分流出に与える影響の解明に関して、既に検討を始めており、実験データの取得を進めている。
以上、本研究課題は当初の計画通りに進んでおり、おおむね順調に進展していると自己評価できる。

Strategy for Future Research Activity

今後の研究の目標は、1)水位変動を再現した時に発生するミクロな変化を捉え、細粒分流出に与える影響を明らかにすること、2)細粒分流出はどこまで進行するのか、どの程度の時間をかけて進行するのかを明らかにすることの2点である。動水勾配を変動させる条件下および給排水を繰返し行う条件下で、細粒分流出実験を行い、細粒分流出がどのように進行していくのかを検討する。
水位変動を再現した細粒分流出実験は既に検討を始めている段階で、実験データの取得を進めている。現段階の結果を見ると、水位変動を繰り返すことで、細粒分流出が継続していることを確認している。排水の濁度測定から排水の濃度―濁度関係を取得し、初年度に考案した排出土粒子径の分析手法を用いることで、細粒分流出の進展状況を量だけではなく、粒径の観点から評価できると考えており、引き続き検討を進めていく予定である。

  • Research Products

    (7 results)

All 2022 2021

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Presentation (6 results)

  • [Journal Article] 濁度を利用した細粒分流出実験における移動土粒子の粒度組成とその時間変化2022

    • Author(s)
      石丸 太一, 鈴木 素之, 高野 翔太
    • Journal Title

      地盤工学ジャーナル

      Volume: 17 Pages: 47~60

    • DOI

      10.3208/jgs.17.47

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] 円筒型カラム通水実験において土質境界の傾斜角度が内部侵食に与える影響2022

    • Author(s)
      石丸太一,鈴木素之,小森朝陽,高野翔太
    • Organizer
      第74回2022年度(令和4)土木学会中国支部研究発表会
  • [Presentation] 上載圧が細粒分流出挙動に与える影響(その2:排水の濃度―濁度関係)2022

    • Author(s)
      石丸太一,鈴木素之,小森朝陽,高野翔太
    • Organizer
      第57回地盤工学研究発表会
  • [Presentation] 排水の濁度―濃度関係に着目した浸透力変動下における細粒分流出実験2022

    • Author(s)
      石丸太一,鈴木素之,小森朝陽,高野翔太
    • Organizer
      令和4年度土木学会全国大会第77回年次学術講演会
  • [Presentation] 流出土粒子径に着目した上載圧載荷がサフュージョンの進行に与える影響2021

    • Author(s)
      石丸太一, 鈴木素之, 高野翔太
    • Organizer
      第73回土木学会中国支部研究発表会
  • [Presentation] 流出土粒子径に着目した飽和・不飽和状態のサフュージョン進行メカニズム2021

    • Author(s)
      石丸太一, 鈴木素之, 高野翔太
    • Organizer
      第56回地盤工学研究発表会
  • [Presentation] サフュージョンの影響を受けた塑性が異なる細粒分を有する砂質土の力学特性2021

    • Author(s)
      石丸太一, 鈴木素之
    • Organizer
      令和3年度土木学会全国大会第76回年次学術講演会

URL: 

Published: 2022-12-28  

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