2021 Fiscal Year Annual Research Report
伝熱・流動現象の高分解能同時計測による高温面冷却時のクエンチ現象の解明
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21J14677
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
梅原 裕太郎 電気通信大学, 情報理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Keywords | クエンチ現象 / 液膜冷却 / 熱伝達率分布 |
Outline of Annual Research Achievements |
高温鉛直面に沿って流下する液膜の先端で生じるクエンチ現象を、高速度カメラと赤外線サーモグラフィ(IRカメラ)を用いて詳細に観察し、観察された熱流動現象をもとに、液膜の流下速度を正確に見積もることのできる現象論的クエンチモデルを開発した。以下にその詳細を述べる。 高温面を急速冷却することは、原子炉の事故時の緊急冷却や鋼材の熱処理(焼入れ)など工学的に極めて重要である。 このクエンチ現象を解明するための代表的な実験として、高温面に沿って液膜を流下させ、液膜先端で生じるクエンチ現象を観察するものがある。既存研究では、クエンチ現象によって生じる温度変化をとらえることができなかったため、クエンチ時における熱伝達率分布の実験データを用いずに、実験的に得られた液膜の流下速度に合うように便宜的にクエンチモデル(熱伝達率分布)の開発がなされてきた。この結果、既存研究では、様々な形状のクエンチモデルが提案されており、異なる実験条件への適用性について、十分な検討がなされていなかった。 上記の課題を解決するため、赤外線を透過するシリコンウェハを伝熱面材料として用いるとともに、IRカメラを用いて温度分布を計測し、得られたデータよりクエンチ時の熱伝達率分布を算出する手法を開発した。また、IRカメラと高速度カメラの同期撮影により温度分布挙動と液膜挙動の関連を考察し、クエンチ時の熱伝達率分布を決定するメカニズムとして、(1)液膜先端での主要な伝熱機構は核沸騰であること、(2)濡れ域と乾き域の間には遷移域が存在し、その幅は沸騰気泡径のオーダーであることを見出した。 これらの結果を用いて、現象論に基づくクエンチモデルを新たに開発し、様々な伝熱面材質、液物性、初期伝熱面温度における液膜流下速度を±30%の精度で予測できることを確認した。
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Research Progress Status |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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