2021 Fiscal Year Annual Research Report
格子欠陥制御と電気化学処理の融合による新規金属/SiC複合材料の創製
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21J14738
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
前田 有輝 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Keywords | シリコンカーバイド / 陽極酸化 / 中赤外自由電子レーザー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,イオン照射と陽極酸化を組み合わせることで作製される多孔質(ポーラス)SiCに金属を電析によって充填することで,剛性と靭性をあわせ持つ新規金属/SiC複合材料の作製を目的としている. 当該年度ではSiC上への陽極酸化によるポーラス構造作成に向けて,電気化学反応活性制御に着目し研究を行った.これまでの研究からイオン照射によってSi-C結合を破壊することでできる格子欠陥が陽極酸化を促進し,ポーラスSiC形成が可能になることがわかっている.しかしイオン照射は破壊的手法であるためにSiCの半導体特性が失われてしまうことが問題となっていた.この背景を踏まえて,中赤外自由電子レーザー(MIR-FEL)を用いてSi-C結合を振動(格子振動励起)させることでSiCの電気化学活性を誘起できるかどうかについて検討を行った.その結果格子振動励起によってSiC中に積層欠陥が導入され,SiCの電気化学活性が向上することがわかった.また励起する格子振動モードによって,積層欠陥の入り方に差異が見られ,活性向上の挙動が異なるという結果を得た.この結果の応用として,SiC上への白金の置換析出に着目し研究を行った.本来SiCは不活性な材料であるために白金の置換析出は起こりづらい.しかしMIR-FELを照射することで白金の析出が促進されることを見出した.またMIR-FEL照射による電気化学活性の向上はSiCの半導体特性の変化が小さいことも見出しており,イオン照射とともにMIR-FELによる格子振動励起がSiCの陽極酸化による表面加工に応用可能であることを示唆する結果となった.さらにSiCの陽極酸化に用いる電解液を探索する過程で,超濃厚水溶液を用いた陽極酸化によって,高密度かつ表面粗さの小さい酸化膜を作製できることを見出した.この結果から自由水の量の制御がSiCの陽極酸化には重要であるという知見を得た.
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Research Progress Status |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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