2021 Fiscal Year Annual Research Report
Development of Semiconductor Materials for Highly Efficient Tin-based Perovskite Solar Cells
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21J14762
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
Hu Shuaifeng 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Keywords | ペロブスカイト / パッシベーション / 表面化学 / 太陽電池 / 電荷回収 |
Outline of Annual Research Achievements |
次に、本手法をSn-Pb混合型ペロブスカイト半導体材料にも展開し、その有用性を実証した。また、ペロブスカイト層の表面パッシベーション材料として、Maltolを用いた表面修飾法を開発した。これらの技術を用いて作製したCs0.1MA0.3FA0.6Sn0.5Pb0.5I3を用いたペロブスカイト太陽電池は1050 nm(1.25 eV)までの近赤外領域まで光電変換でき、33 mA cm-2を超える高い短絡電流密度が得られ、21.4%の光電変換効率を得ることができた。これらの手法を用いることで、生じるキャリアが7μ秒もの長い寿命をもつことを示した(Chem. Sci. 誌に発表)。 さらに、Sn-Pb混合型ペロブスカイト半導体薄膜の上下表面のパッシベーション技術開発に取り組んだ。表面に電荷の取り出しに有利な電気双極子をもつように設計したEDAI2とGlyHClを用いて、ペロブスカイト層の上下を選択的にパッシベーションできる手法を開発した。これにより、23.6%(短絡電流密度32.5 mAcm-2、開放電圧0.89 V、曲線因子0.82)の光電変換効率を得ることができた。これは、Snを含むペロブスカイト太陽電池としても世界最高値である。また、開放電圧は最大で0.91 Vにまで向上し、1.25 eVのバンドギャップからのロスもわずか0.34 Vと、熱力学的な理論限界値にほぼ達していることも明らかにした(Energy Environ. Sci. 2022, 誌in press.)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
この課題に対し, 当研究グールプでは, 界面材料化学, 結晶成長制御の視点から, 独自の表面構造修飾(パッシベーション)法の開発に取り組んできました. ペロブスカイト太陽電池は, 生じる電荷(正孔と電子)を選択的に各電極に回収するために、発電層であるペロブスカイト半導体層を, p型およびn型の半導体層(電荷回収層)で挟んだ構造となっています. 本太陽電池の発電メカニズムに基づいて考えると, いかに電圧のロスを抑えて, 各電荷を電気エネルギーとして回収できるかが高効率化の鍵となります. そこで本研究では, 各電荷の取り出しに有利な電気双極子モーメントをもつように工夫した2つの分子材料(グリシンとエチレンジアンモニウム)を設計し, これらを用いてペロブスカイト層の上下の表面をパッシベーションする手法を開発しました.
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Strategy for Future Research Activity |
これらの成果は, タンデム型ペロブスカイト太陽電池の高性能化にも極めて有用であり, 国内外から注目を集めている. 今後, タンデム型の太陽電池の開発研究にも取り組んでいく予定である. 今後, 鉛フリー材料としてスズ系ペロブスカイト太陽電池のさらなる高性能化も加速するものと期待されます. また, 1.25 eVの狭いバンドギャップをもつ太陽電池でも0.91 Vの開放電圧が得られたことは, 30%を超える光電変換効率を示すタンデム型のペロブスカイト太陽電池の開発研究にも有望な研究成果として注目を集めます.
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Research Products
(5 results)