2021 Fiscal Year Annual Research Report
階層的構造制御に基づく材料機能化が実現する革新的生体吸収性マイクロデバイス構築
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21J14930
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
神田 循大 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Keywords | マイクロニードル / 生体吸収性ポリマー / 微細加工 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、生体吸収性ポリマーを用いた無痛刺入型医療デバイスの開発である。マイクロニードル型のデバイスを用いた、血液の体内光測定技術の実現を目指す。これまでに、生体吸収性ポリマーであるポリ-L-乳酸(PLLA)を用いた高アスペクト比マイクロニードル精密成形プロセスの構築、PLLAの結晶化度が成形したマイクロニードルの力学的特性に与える影響の評価、マイクロニードルによる光測定の原理検証を行った。 本年度は、PLLA製マイクロニードルの形状の最適化について検討した。ニードルデバイス刺入時の痛みを軽減するためには、ニードル先端が鋭いことが望ましいが、ポリマーで作製したマイクロニードルは材料強度の観点から刺入時に変形する恐れがあるため、小径化に限界があると考えられる。また、血液の体内測定用に作製したマイクロニードルは、アスペクト比が既存のマイクロニードルと比べて高く、変形が起こりやすい。そこで、血管に到達可能な高アスペクト比ポリマーマイクロニードルにおける、塑性変形が起こらない先端直径の限界値を導出した。具体的には、シミュレーションと実験の両方を用いて先端直径が変形および穿刺力に与える影響を調査し、生体吸収性ポリマーであるPLLA製の無変形マイクロニードルを設計した。 今後は、作製したマイクロニードルデバイスに対して光プローブの修飾を行い、血中バイオマーカーの光測定を行うことで、最終目標である無痛刺入型血液光測定デバイスの原理実証を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は無痛刺入型光測定デバイス開発に向けたマイクロニードル形状の最適化、設計を行った。ポリマー材料の塑性変形を考慮した検討をシミュレーションおよび実験の両方を用いて進めることで、塑性変形を起こさずに生体組織に刺入可能な高アスペクト比マイクロニードルを生体吸収性ポリマーを用いて作製した。本年度の研究により、無痛刺入型光測定デバイス開発における基盤技術の構築を達成した。また、本研究を通してポリマーを用いた医療デバイス設計において有用と思われる興味深い知見も得られている。これらの成果を論文として発表する準備も進めており、おおむね順調に進んでいると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
無痛で皮膚に刺入かつ血管に到達可能な生体吸収性マイクロニードルの開発を行い、光センサー機能を付与する技術を構築する。生体組織を用いた刺入試験により作製したマイクロニードルの強度、穿刺力を測定し、刺入機能を評価する。また光透過性も併せて測定し、光測定への応用実現性を評価する。作製したマイクロニードルの先端に対して、燐光プローブを局所修飾をすることで、環境応答性を有する光シグナルを検出可能なマイクロフォトニードルの作製を行う。修飾の可否を、顕微観察及び励起光照射後の燐光観察で評価する。以上より、光測定に応用可能かつ高強度な生体吸収性マイクロニードルの作製技術を構築する。本研究で得られた成果を、国内・国際学会及び学術論文誌への投稿により、世界に向けて発信していく。
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