2021 Fiscal Year Annual Research Report
室温動作超広帯域光検出器の実現に向けた量子物質赤外応答の解明
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21J15167
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 絢也 京都大学, エネルギー科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Keywords | バルク光起電力効果 / 赤外光電変換 / ワイル半金属 / ラマン分光 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ワイル半金属について赤外光応答を明らかにするために研究を行った。また、非従来型の高効率な赤外光電変換機構と最適な試料構造や試料の組み合わせの解明を目的として研究を行った。現在、2つの物質について研究を進めている。セルフフラックス法により合成された試料をX線構造解析とエネルギー分散型X線分光法により[1]Co3Sn2S2と[2]TaIrTe4であることを確認した。[1]ワイル半金属Co3Sn2S2については明らかではなかった偏光ラマン散乱を測定を行った。また、励起偏光と検出偏光を制御可能なラマン顕微分光顕微鏡を作製し、励起偏光角度依存ラマン散乱測定を行った。観測された振動モードの偏光角度依存性と群論を用いた偏光角度依存性とを比較することで、振動モードの割り当てとフォノン周波数の特定を行った。これにより、偏光ラマン分光を行うことで簡便に試料の結晶構造を同定することが可能になり、合成を確認が素早く行えるようになった。[2]カルコゲナイド系ワイル半金属TaIrTe4については、光起電力測定に最適な構造等を検討可能である大面積試料を収率良く作製可能になった。研究室で新規導入したリソグラフィシステムとの最適条件の検討を進めており、微細電極を試作している。これにより、光起電力測定のためのデバイス試作を行った。現在、赤外光電流測定に向けて、偏光・温度・励起エネルギー・試料位置などを自由に設定可能な光電変換測定システムを構築している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在、半導体不足の影響から一部必要な物品調達に遅れが生じているものの、測定に向けた試料の作製・電極付きデバイスの作製を行うことができている。また、光電流計測に向けたシステムの構築を可視光については完了しているため、おおむね順調に進展しているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
ワイル半金属の赤外領域における光電流計測を進める予定である。大面積試料の作製とそのデバイス作製技術は確立した。テスト試料の電流測定を行ったが、低抵抗であるためのノイズが想定より大きく、電流信号を検出することが困難であることが分かった。このノイズを低減することにまず取り組む。年度前半での、位置依存光電流測定を目指す。
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