2021 Fiscal Year Annual Research Report
卵巣癌微小環境における免疫抑制と浸潤能の複合的阻害を基軸とした治療法の開発
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21J15178
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮本 泰斗 京都大学, 医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Keywords | 卵巣癌 / B7H3 / M2マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は腫瘍微小環境におけるB7H3とマクロファージを取り巻く免疫抑制について検討した。 マウス卵巣癌細胞HM-1において、B7H3ノックアウト(B7H3-KO)株由来の細胞培養上清では、コントロールのものに比べて単球の遊走数および免疫抑制性のM2マクロファージへの分化の割合が低下し、CCL2-CCR2経路の阻害により、その差は部分的に相殺された。以上より、腫瘍細胞におけるB7H3は、単球の遊走およびM2マクロファージへの分化に関与し、これらの作用にCCL2-CCR2経路が寄与していることが示唆された。HM-1皮内腫瘍担癌マウスにおいて、CCR2阻害剤治療により、コントロール株の発育は抑制された一方、B7H3-KO株においては腫瘍発育に差を認めなかった。また、腫瘍のフローサイトメトリーにて、コントロール株では、CCR2阻害によりM2マクロファージが減少し、IFNγ陽性CD8T細胞が増加した一方で、B7H3-KO株においては、両者とも差を認めなかった。以上より、B7H3のCCL2-CCR2経路とM2マクロファージを介した抗腫瘍免疫抑制、腫瘍発育促進作用への寄与が示唆された。 ヒト卵巣癌において、原発巣腫瘍ライセートにおけるB7H3とCCL2のタンパク発現は正に相関し、また免疫染色にてB7H3の発現強度と腫瘍浸潤M2マクロファージ数に正の相関を認めた。B7H3高発現の腫瘍はIFNγ陽性CD8T細胞数が少なく、予後不良であり、ヒト卵巣癌においてもB7H3のCCL2-CCR2経路およびM2マクロファージを介した免疫抑制への関与が示された。 以上より、B7H3はM2マクロファージが豊富で免疫抑制の強い腫瘍微小環境における良い治療標的となる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一部未施行の実験はあるものの、おおむね計画通りに研究を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの結果から、卵巣癌の進展におけるマクロファージの重要性が示唆され、次年度では、特に卵巣癌の腹腔内進展に重要な組織である、大網や腹膜におけるマクロファージの機能と治療標的性ついて、さらに検討を進める予定である。
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