2021 Fiscal Year Annual Research Report
Visualization and Analysis of Droplet Behaviors for Performance Improvement in Exhaust Gas Aftertreatment Systems
Project/Area Number |
21J15255
|
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
杉山 直輝 東海大学, 総合理工学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
|
Keywords | 排ガス後処理システム / 設計 / 可視化 / 微細構造 / 混相流 |
Outline of Annual Research Achievements |
ディーゼルエンジンへの100%バイオ燃料やe-fuelによるCO2ゼロ研究が進む中、NOxゼロは尿素水の微粒化にて気化促進を図る尿素SCRシステムが有望である。しかし、排ガスの低温度域では尿素水が気化しきれず、排気管の至る箇所に尿素が析出しエンジン全体の性能低下に繋がる。これは排気管内の現象が目に視えず、あらゆる研究者が大規模な解析により現象の予測を試みるが、実現象との乖離から真の原因が解明されていないためと考えられる。そこで、本研究では新たな微粒化手法として尿素水の衝突壁面への表面テクスチャ付与を提案し、尿素SCRシステムの機構を模擬した装置を用いた噴霧液滴挙動の可視化による衝突微粒化の促進とそのメカニズムの解明を目的とする。さらに、表面テクスチャによる濡れ性の変化を利用し、壁面から脱離する液滴の肥大化を抑制するために壁面へのパターニングを可視化結果から検討する。2021年度は、尿素SCRシステムの環境を模擬するためにも、ガス温度の昇温が可能となる装置の設計・製作をすることを目指していた。その結果、尿素SCRシステムとして排ガスの低温度域とされる200℃までの昇温を加熱ヒーターにより実現し、センサー類に関しても管内圧力および管内温度を想定する運転領域に合わせて高精度に測定できる環境を整えることができた。これにより、尿素析出が生じる原因を実験的に解明すること、すなわち、尿素析出という問題に対して表面テクスチャによる微粒化と濡れ性を利用した液滴挙動の制御による検証ができる準備ができたと考えている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度の最終目的である昇温可能な可視化用尿素SCRシステム模擬装置の設計・製作については達成できたためである。しかしながら、半導体不足による加熱ヒーターの納品時期に遅れが出てしまったこともあり、実験検証により明らかとなる実験装置の改良や追加工がまだ不十分である点が挙げられるため、当初の計画以上ではないと考えている。例えば、可視化部であるガラス管の箇所に平板を取り付けることやガラス管が円形であるため上下にて像の歪みが生じていることが確認されている。これらの課題点は、尿素SCRシステムの環境を可能な限り反映したため生じたものであり、今後の実験結果を基に改善していく必要がある。
|
Strategy for Future Research Activity |
前述した実験装置の改良や追加工を早急に遂行したいと考えている。具体的には、ガラス管の前後に結合しているステンレス管を利用して平板を取り付けることにより目的とする尿素SCRシステム環境下での表面テクスチャの性能確認を遂行する。さらに、円形で取り付けているガラス管を矩形管へ変更することにより像の歪みが生じないように改良する。これらの遂行にあたり、ガス流れへの影響を十分に考慮する必要があると考える。本研究課題は尿素SCRシステムというアプリケーションが大前提となっているため、そのことを念頭に置きアプリケーションへの応用を目指した上で、学術的な知見を明らかにするために進めることが求められる。これらの研究成果は、1年延期により今年度開催予定のWTC 2021(国際会議)にて発表予定としている。
|