2021 Fiscal Year Annual Research Report
Physics of energy transportation and momentum conversion on moving from electron heating to magnetic nozzle acceleration
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21J15345
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
江本 一磨 横浜国立大学, 理工学府, 特別研究員(DC2) (10967227)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Keywords | 磁気ノズル / 運動論的解析 / 運動量変換 / 電気推進 / プラズマ物理 |
Outline of Annual Research Achievements |
電気推進機への応用を目指した磁気ノズル加速の運動論的解析を行い、推進機内部で起こるプラズマ物理の解明と性能向上に向けた数値的研究を行った。計算手法としてparticle-in-cell / Monte Carlo collisions法を採用し、電磁場中のイオン・電子の運動と粒子間衝突を扱うシミュレーションによって磁気ノズル内部のプラズマ流れを計算した。その結果、実験的に観測されていたbimodalな密度構造と反磁性効果による推力生成を再現するとともに、強磁場条件では電子による径方向から軸方向への運動量変換が支配的になることを明らかにした。イオンの軸方向運動量が重要となる静電加速とは対照的に、磁気ノズル加速では電子の軸方向運動量が重要となることを示した成果と言える。また、推進機内部のエネルギー損失を包括的に扱った解析も実施した。その結果、磁場強度の増加とともに壁面損失が減少し、代わりにプラズマビームのエネルギーが増加することが示された。加えて、粒子間衝突によるエネルギー損失とプラズマビームの発散による損失は磁場強度にほとんど依存しないことも示された。これらの解析は電気推進機における推進効率を評価したことに相当し、実験で観測されていたエネルギー損失の抑制と推進効率の向上を数値的に検証するとともに、さらなる推進効率向上の可能性を示唆した。推進機内部のエネルギー損失における磁場強度の依存性が明らかになり、推進効率の向上に向けた設計指針として活用される意義がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
運動論シミュレーションによる磁気ノズル加速の数値解析を順調に進めることに成功し、静電気力・電磁気力とプラズマの力学的関係について、当初の計画を前倒して研究成果が得られている。その結果、電磁気力が卓越することで電子の運動量が径方向から軸方向へと変換される現象が明らかになり、磁気ノズルプラズマ加速における学術的な成果につながっている。さらに、これらの物理現象と磁気ノズル内部の高エネルギー電子との関連性を探る研究も順調に進んでおり、当初の計画以上に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
先行研究および前年度の研究成果において重要性が示唆された高エネルギー電子に着目して今後の研究を推進する。特に、推力生成に関連することが実験的に示唆されている密度構造、並びに磁気ノズル下流で観測されるプラズマ膨張現象の2点を対象とした数値解析を行う。実験的に得られている電子エネルギー分布関数を数値的に評価するとともに、運動論シミュレーションから得られる高エネルギー電子分布を活用し、これらの物理現象における高エネルギー電子の重要性を議論する。これらの研究を推進することで、実験から示唆されていたプラズマ物理の妥当性を検証するとともに、高エネルギー電子によって駆動される運動論的な磁気ノズル加速の物理を明らかになることが期待される。
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