2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21J15412
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
有江 賢志朗 新潟大学, 自然科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Keywords | 氷河 / 質量収支 / 飛彈山脈 / 現地調査 / GPR / GNSS / GIS |
Outline of Annual Research Achievements |
飛彈山脈において,2021年4月1日,10月3日にセスナ機で氷河の上空で周辺の地形もめた写真の撮影をおこなった.セスナ機からの空撮画像とSfMソフトのPix4D Promapperを用いて,氷河の地形表層モデル(DSM)を作成した.2020年度に作成した氷河のDSMと本年度に作成した氷河のDSMを,地理情報システム(GIS)を使用して比較し,2020-2021年の氷河の年間,冬期,夏期の質量収支を算出した. 2015年から継続している飛彈山脈の氷河の質量収支観測の結果,飛彈山脈の氷河は,吹きだまりと雪崩による涵養によって降雪の2倍以上の積雪を獲得していることが示された.また,冬期の積雪深には大きな年々変動がある一方,夏期の融雪深にはほとんど年々変動がなく,主に冬期の積雪深に依存する年間質量収支は,多雪年に氷河全域が涵養域,小雪年に氷河全域が消耗域になることが明らかになった.さらに,飛彈山脈の氷河の質量収支と,world glacier monitoring service(WGMS)に記録されている世界の氷河の質量収支を比較したところ,飛彈山脈の氷河の冬期収支,夏期収支,質量収支振幅は世界で最も大きく,世界の質量収支が観測されている氷河の中で最も温暖かつ湿潤な環境に存在することが示された. 2021年の8月~11月では,氷河の可能性の高い多年性雪渓(白馬村の不帰沢雪渓,杓子沢雪渓,白馬沢雪渓)において,中心周波数100MHzの地中レーダー探査機(GSSI社製:Model 3207)を使用して,氷厚測定の現地調査を実施した.その結果,不帰沢雪渓,杓子沢雪渓,白馬沢雪渓の氷厚は,30m以上であることが測定され,これら三つの多年性雪渓は,氷河の可能性が高いことが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度の氷河の可能性が高い,白馬村の不帰沢雪渓,杓子沢雪渓,白馬沢雪渓で流動測定の現地調査を実施した.しかし,流動測定のために設置したステークが雪崩に埋まってしまい,流動を測定することができなかった.そのため,当初予想より研究計画がやや遅れている.
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度においても,飛彈山脈の氷河の長期間の質量収支を明らかにするために,4月と10月に飛彈山脈においてセスナ空撮を実施する. また,不帰沢雪渓,杓子沢雪渓,白馬沢雪渓において,再度流動測定をおこない,研究計画の遅れを取り戻す.加えて,杓子沢雪渓おいてアイスコアを取得・解析することで,氷河氷の形成過程,形成年代を明らかにする.
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Research Products
(10 results)