2021 Fiscal Year Annual Research Report
DNAの位置認識能力に基づくナノポーラス金属錯体の高次構造体作製および機能開拓
Project/Area Number |
21J15463
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中城 世宣 名古屋大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
|
Keywords | ナノ空間材料 / Metal-organic polyhedra / DNA / ナノ構造体 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度DC2の期間はじめ、準備段階で事前に合成していたMetal-organic Polyhedra (MOP)がDNAに対して不安定であることが明らかとなった。これは、DNAのリン酸部位がMOPのZrクラスターに配位して金属クラスターを破壊し、ケージ構造そのものが分解してしまうことが原因であると考えられた。そこで報告者は、MOPの金属クラスターの化学的安定性を高めるべく、キャッピング部位をCpからCp*に変更することを考えた。種々の条件を検討した結果、目的とするCp*でキャッピングされたZrクラスターからなる新規MOP数種類の合成に成功し、実際にその安定性がCpのものに比べて大幅に向上していることをMS測定より明らかにした。DNAに対するMOPの安定性が担保されたため、このMOPとDNAでクリック反応を行ったところ、MOPとDNAが1対1で定量的に修飾されたMOP-DNA複合体が生成していることを質量分析法によって明らかにした。このサンプルに対し、高速液体クロマトグラフィーを用いることで目的とするMOP-DNA複合体の分離・精製に成功した。これは、ナノ空間材料であるMOPに対してDNAを1対1で定量的に修飾し、単離精製した世界で初めての例である。さらに、得られたMOP-DNAが鋳型となるDNA鎖と二重鎖を組む能力を有することをゲル電気泳動から確認した。一方、その配列の直接観察のために行ったSTEM測定では、MOPが良く分散していることが明らかになった一方、サンプル準備条件や測定条件の修正が必要であることが分かった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究開始当初より予想されていた、「DNAとの複合化に耐えうるMOPの合成」と、「合成したMOP-DNAの分離精製」という二つの大きな障壁を突破することができたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度に合成・精製に成功したMOP-DNAを用いて、鋳型となるDNA鎖(数十塩基)とアニーリングさせることで、実際にMOPの配列制御を行う。DNA上に配列されたMOPの形態観察はSTEMやAFMを用いる。続いて、鋳型に用いるDNAを数千塩基に拡張すべく、ローリングサークル複製反応を利用することで長鎖のDNAを合成し、それを鋳型とした大スケールMOP-DNA構造体の合成を行う。さらに、配列させるMOPの種類を2種類以上にすることで、MOPのヘテロ構造体の合成を行う。その際、DNAオリガミの技術を応用し、一次元鎖上での配列から二次元平面上に拡張することを検討する。最後に、作製したヘテロ構造体の触媒能を評価し、単純なバルク状の混合物と、配列制御されたMOPヘテロ構造体の優位性を確認する。
|