2021 Fiscal Year Annual Research Report
機能性流路形成法による身体を拡張するソフトロボットの研究
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21J15489
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
南之園 彩斗 芝浦工業大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Keywords | 静電現象 / ソフトロボット / 高電圧 / カーボン / シリコーン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は複数の静電現象を組み合わせることにより、ソフトロボット・アプリケーションを実現することにあった。 静電デバイスの駆動技術を確立すべく研究を進めていた、積層型誘電エラストマアクチュエータを用いた自律駆動型タイヤユニットに関する研究を完了した(SMS論文誌に掲載済み)。この研究成果により静電現象を操作するミニマムサイズの高電圧回路設計が可能となった。 次に材料調査に関して、液体金属、カーボン材料、ゴム、シリコーンについて市販の資材を中心に静電現象アプリケーションの構築への適合性を評価した。液体金属とアクリルゴムを用いた誘電エラストマアクチュエータの作成には成功している(ROBOMECH国内学会)。しかし、当初目指していた機能性流路形成に際しては絶縁性ポリマーの3D形成技術が確立し得なかったため、実現が困難であると判断している。そのため複数の静電現象に汎用的な使用可能な材料を調べることで、アプローチする方針をとった。現在、特定の絶縁製シリコーンゴムを用いた3Dオブジェクト形成技術と、カーボン配合型シリコーンシート・導電性糸を組み合わせた方式により、誘電エラストマアクチュエータ、静電接着、電気流体力学ポンプ、センサが作成できる段階にまで至っている。 本技術を確立する過程において共同研究として電気流体力学ポンプを用いた「ウェアラブルデバイスの開発」「櫛歯の形状の最適化」を行なった。それぞれ学会発表、論文掲載済みである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ禍における研究室入室の制限に伴い、自身の研究環境が一時的に非効率になった。これに伴い、遠隔で作業を進められる設備の増設や、作業の業者委託などをすることで、プロジェクトの遂行を行うことを強いられたため、時間ロスが生じた。機能性流路を形成可能と考えていた3Dプリンタは細密な印刷は可能であるが、静電デバイスへの有用性としては作成個体によって非常に不安定な挙動を示したため、不向きであると判断した。根幹になり得ると考えていた技術が確立できなかったため、他のアプローチで対処を進めている。在籍期間の問題により、細かい研究成果を報告する機会を制限することで、本プロジェクトの完遂を目指しているが、それにより当初計画していた論文誌等での研究報告は見送ることになっている。
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Strategy for Future Research Activity |
静電現象を形成する機能性流路の構築に適した材料として、カーボングリース、高導電性糸、導電性・絶縁性シリコーンの選定を行った。それぞれの材料で誘電エラストマアクチュエータ、歪みセンサ、静電接着パッドの作成に成功しており、前年度の目標としていた、材料の統一化はおおよそ完遂している。よって本年度はそれらの統合を行う。統合に際して、柔軟なボディの内部で機能する高電圧回路が必要である。高電圧回路技術に関しては既にかなりの軽量化・最適化に成功しており、本知見を用いて、素子を直接柔軟材料の中に埋め込み伸縮可能な電極パスを介して機能させる。また、イギリスリンカーン大学にてバイオミメティクスについての共同研究を行う。目的である人とシームレスに繋がるロボット構築のために、生体模擬ロボットの設計技術は必要不可欠である。柔らかさと堅牢性を両立できる骨格や効率的な歩行方法などの知識を身につけ、最終デバイスの開発を行う。柔軟軽量な蠕動運動式デバイスを開発し、論文化を行う。これと並行して、「回転・変形状態が読み取れる変形可能なモータ」「誘電エラストマアクチュエータの電極形状の最適化」「ストレッチャブルセンサーの機能向上」等の要素研究も進める。
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Research Products
(7 results)