2021 Fiscal Year Annual Research Report
先進トライボ界面分析によるエンジンオイルの省燃費性向上に向けた潤滑添加剤の最適化
Project/Area Number |
21J15514
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
SHEN WEIQI 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Keywords | トライボロジー / 潤滑添加剤 / 摩擦調整剤 / エンジンオイル / 境界潤滑 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、異なる添加剤を配合した潤滑油を使用した場合において、摩擦係数・耐摩耗性の変化を測定し、添加剤による潤滑現象の把握を図り、添加剤間の相互作用と摩擦低減のメカニズムの解明を目指す。具体的には、脂肪酸をはじめとする油性剤の吸着特性を評価し、エンジンオイルの必須添加剤であるZDDPの反応過程を再現し、及び油性剤とZDDP併用時における摩擦係数の測定と摺動面の化学構造解析を行った。 添加剤の吸着とトライボロジー効果を把握するために、量子ビーム線分析を用いて添加剤の吸着状態を観察し、原子間力顕微鏡によって同じ吸着状態下で摩擦試験を行った。また、ミクロからマクロスケールにおける摩擦特性の検証を行い、摺動面の表面分析によって摩擦係数低減メカニズムの解明を試みた。 今年度の主たる成果としては、①中性子反射率法によって推定した摺動界面での油性剤の密度と原子間力顕微鏡によって測定した摩擦係数に良い相関が見られることを確認した、 ②油性剤とZDDPの併用により、単体使用時よりも摩擦係数が下がる組み合わせを見出した、の2点である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和3年度は原著論文を1本、国内学会4報を発表し、国内学会1報と国際学会2報が受理され、研究成果の公開が着実に進んでおり、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度では、前年度でできなかった摩擦試験途中の摺動面観察と元素マッピングを行い、摺動過程における界面の変化を把握することで、添加剤の化学反応と摩擦係数の変化を結びつけ、吸着型・反応型添加剤併用系における摩擦低減のメカニズムを解明する。そして、前年度の知見を活かし、令和4年度では油性剤とZDDP、MoDTCが併用される潤滑油において、添加剤分子の界面吸着、摺動による潤滑被膜形成、潤滑被膜の摩擦特性の関係を明らかにし、エンジンオイルの省燃費性能向上に向けた潤滑油添加剤の最適化設計指針を明示することを目指す。
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