2022 Fiscal Year Annual Research Report
炎症時におけるアデノシン動態変化が肝線維化へのスイッチシグナルとして働く可能性
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21J15529
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
土肥 直貴 静岡県立大学, 薬食生命科学総合学府, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Keywords | 肝星細胞 / 肝線維化 / NAFLD / NASH / アデノシン / PGE2 |
Outline of Annual Research Achievements |
目的①:前年度に見出したGSTA4の発現調節に関して、ヒトHSC株LX-2細胞を用いて検討した。レポーターアッセイより、TGF-β存在下においてcaffeine(CAF)とPGE2併用時にGSTA4の転写を制御する転写因子NRF2の活性が増加することが示唆された。さらに、免疫染色によりTGF-β存在下においてCAF とPGE2併用時にNRF2の核移行が促進することが示唆された。NRF2はKEAP1により抑制性に制御されるが、p62はリン酸化と凝集体形成により活性化し、KEAP1の分解を促進させることが報告されている。そこで、マウス初代培養細胞HSCにおける総p62およびリン酸化体p62の凝集体形成を免疫染色により観察した。その結果、CAF またはPGE2の単独処置とは異なり、CAF とPGE2併用時には総p62およびリン酸化体p62の凝集体形成が確認された。これらの結果より、HSCにおいてCAF とPGE2の併用処置はp62のリン酸化および凝集体形成を促進し、これによるNRF2の核移行および転写促進を介したGSTA4の発現亢進が、HSCの活性化を抑制することが示唆された。 目的②:前年度に得られた知見をもとに、脂肪酸負荷による肝実質細胞のアデノシン(ADO)代謝への影響を解析した。その結果、AML-12細胞においてパルミチン酸とオレイン酸の処置により、細胞外ADO産生酵素CD39の増加、ADOトランスポーターENTの減少傾向、培地中ADO濃度の増加がみられた。さらに脂肪酸負荷AML-12細胞をマウス初代培養細胞HSCと非接触状態で共培養するとHSCの活性化が促進した。これらの結果より、肝実質細胞における脂肪蓄積はADOの産生増加および代謝減少を引き起こし、これにより遊離ADO濃度が上昇することでHSCの活性化を促進させ、肝線維化を誘発する可能性が示された。
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Research Progress Status |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(2 results)