2022 Fiscal Year Annual Research Report
有機リン系難燃剤を曝露したニワトリ胚の経時的観察による心血管毒性発現機構の解明
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21J15552
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
神田 宗欣 愛媛大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Keywords | 有機リン系難燃剤 / TCEP / ニワトリ胚 / トランスクリプトーム / 上皮間葉転換 / EMT / RNA-seq |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度は、リン酸トリス(2-クロロエチル)(TCEP)の鳥類胚の心血管系および初期発生に対する毒性作用機序の解明を目指し、研究を行なった。 TCEPを孵卵0日目のニワトリ有精卵に投与し、孵卵5日目のニワトリ心臓を用いてRNA-seq解析を実施した。TCEP曝露群の発現変動遺伝子(DEGs)を用いてIngenuity Pathway Analysis(IPA)のエンリッチメント解析をおこなった結果、上皮間葉転換(epithelial-mesenchymal transition; EMT)のパスウェイが強く影響を受けていることが分かった。EMTは、胚の心臓で心筋細胞・平滑筋・内皮細胞などに分化する心外膜由来細胞を誘導するプロセスで機能する。したがって、TCEP曝露によるEMTの抑制は心臓発達を阻害する可能性がある。 また、ニワトリ胚原腸形成時に胚盤葉上層の上皮細胞の一部は、EMTを介して中胚葉細胞に形成する。したがって、TCEPは原腸形成時のEMTおよび中胚葉分化に影響すると仮説を立てた。TCEPを曝露した原腸形成時のニワトリ胚は、EMT転写因子であるSNAI2、中胚葉マーカーであるTBXT、およびEMTを調節するシグナル伝達に関与するFGF4の遺伝子発現が有意に減少していた。さらに、SNAI2によって発現が制御される上皮細胞マーカーのE-カドヘリンはTCEP曝露で発現が維持されていた。これらの結果より、TCEP曝露は原腸形成時のEMTプロセスおよび中胚葉分化を抑制することが明らかになった。したがって、TCEP曝露によるニワトリ胚の中胚葉分化の抑制が、心臓発達および血管形成の抑制を誘導することが示唆された。
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Research Progress Status |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(6 results)