2021 Fiscal Year Annual Research Report
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21J15676
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
岡林 一賢 大阪市立大学, 大阪市立大学 大学院理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Keywords | 一般相対性理論 / 重力崩壊 / 粒子生成 / ブラックホール / 重力崩壊 / 量子重力 / 場の理論 / 熱力学 |
Outline of Annual Research Achievements |
重力崩壊の末にブラックホール(BH)が形成される過程で自由場の量子論を考えると、重力の強いBH近傍から熱分布に従う粒子生成が起きることが知られている。この熱輻射を得るためには通常BHのもつ事象の地平面の存在が仮定されるが、これは必要条件ではないため、重力崩壊している物体が将来BHにならないとしても熱輻射を生じる場合がある。そこで、重力崩壊が事象の地平面を形成する少し前に止まり、コンパクト天体が形成される場合を考えると、生成粒子のエネルギー流束に特徴的なピークが2つ生じることが示された。エネルギー流束に2つのピークを生じるという結果は、元々天体の内部が真空となっている球殻モデルで示された現象であり、このモデルに特有な結果である可能性があった。しかし、内部に物質が一様等方に分布している天体であっても同様に2つのピークを生じることも近年示されている。
この状況を踏まえ、本年度の研究では主に二つのことを明らかにした。一つ目は、エネルギー流束のピーク間に熱輻射が生じる場合を発見したことである。これは、BHではない重力崩壊の最終生成物の候補として知られているgravastarが形成される場合を考えたときに得られた結果で、天体は静的であるにも関わらず熱輻射が生じるという非自明な現象がありうることを示した。二つ目は、コンパクト天体の内部構造が一様等方ではなく極端に非一様な場合を考えることで、エネルギー流束に2つより多い複数のピークが生じることを明らかにしたことである。この結果は、コンパクト天体を形成する時に生じる粒子生成のエネルギー流束が、一般には内部の構造に依存していることを意味している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「球対称な重力崩壊過程におけるエントロピー」に関して、先行研究の手法を拡張することに成功し、具体的な系への応用も可能となったが得られた結果の正当性の評価に時間がかかっており少し遅れている状況にある。一方で、重力崩壊の末にホライズンのないコンパクト天体が形成されるときに生じる粒子生成に関しては、豊かな性質があることが判明して予想以上の成果を挙げることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
現在時間のかかっている「球対称な重力崩壊過程におけるエントロピー」に関しては、結果が得られているので、その結果に関して他分野の専門家と議論をすることでその正当性を判断していく予定である。現在までの進捗から、重力崩壊の末にホライズンのないコンパクト天体が形成されるときに生じる粒子生成に関しては、豊かな性質があることが判明している。これは今後も成果が挙げられると期待されるだけでなく、現在時間がかかっている「球対称な重力崩壊過程におけるエントロピー」の結果の理解を深めるために必要な例になることを期待している。 そして、自己重力効果を取り入れた熱輻射の研究に関しては特立に取り組むことが可能なので、「球対称な重力崩壊過程におけるエントロピー」と並行して研究に取り組んでいく。
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Research Products
(3 results)