2021 Fiscal Year Annual Research Report
疾患iPS細胞由来ミクログリア・内皮細胞を用いたハンチントン病の病態解明
Project/Area Number |
21J15785
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
山下 美紗季 名古屋市立大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Keywords | ハンチントン病 / iPS細胞由来ミクログリア / iPS細胞由来脳毛細血管内皮細胞 / 血液脳関門 |
Outline of Annual Research Achievements |
運動制御、認知機能、情動制御に障害が出るハンチントン病(HD)は、進行性の神経変性疾患であり、血液脳関門(BBB)の破綻が生じることが知られている。しかし、BBBの実態を担う脳毛細血管内皮細胞(BMECs)の病的変化と疾患の発症・進行についての詳細なメカニズムは未だ明らかになっていない。そこで、本研究では、HD患者由来多能性幹細胞を用いて、HDにおけるミクログリアの活性化とBMECsのバリア機能低下の関係を明らかにすることを目的とした。 HD患者由来人工多能性幹細胞を入手すると共に、健常者由来人工多能性幹細胞を用いてミクログリアへの分化誘導の中間形態である造血前駆細胞への分化誘導を行なった。分化した造血前駆細胞の評価として、フローサイトメーターを用いて造血前駆細胞マーカーであるCD43の発現を確認したところ、98%の分化細胞がCD43陽性であることが確認された。また、凍結保存後に融解・培養した造血前駆細胞であってもCD43の発現を維持していることが確認できた。現在、造血前駆細胞からミクログリアへの分化誘導条件を検討している。また、同時にHD患者由来人工多能性幹細胞を用いて造血前駆細胞への分化誘導を行なっている。さらに、BMECsとミクログリアの共培養において、共培養に用いる培地が各細胞の状態に大きく影響することも判明した。そのため、現在、培地や因子などの組み合わせを中心に共培養法の開発に取り組んでいるところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルスの影響により、研究試料の入手が困難になり、研究を中断せざるを得ない状況が続いた。また、疾患患者由来人工多能性幹細胞の入手も当初の計画と比較して、大幅に時間を要した。 上記の理由から本年度は、研究進捗が「遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
疾患患者由来人工多能性幹細胞の入手が大幅に遅れたことから、ハンチントン病患者由来ミクログリアと脳毛細血管内皮細胞を作製することができず、ハンチントン病患者由来造血前駆細胞の作製のみに止まってしまった。そのため、今後は、造血前駆細胞からミクログリアへの分化を行い、さらに脳毛細血管内皮細胞への分化誘導も行う。また、共培養条件に改良が必要であることが判明したため、条件検討を引き続き行い、条件が確立できた段階で、ハンチントン病患者由来ミクログリアと脳毛細血管内皮細胞の相互作用について解析を行う。
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