2021 Fiscal Year Annual Research Report
第一原理計算および朝永-ラッティンジャー理論に基づくDNAの電子状態と超伝導
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21J15788
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
関川 卓也 新潟大学, 自然科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Keywords | DNA / 超伝導 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度に関してはDNAの電子状態計算に難航し、3種類以上の配列を計算したが超伝導が期待できる配列がまだ見つからなかった。金属化が期待される計算結果を得たが、発表が今年度に間に合わなかった。 また、研究計画に書いた"様々な生体分子に対して量子多体問題を議論した上で超伝導を議論する"ための予備計算としてAxWO3に関しての超伝導を第一原理計算に基づいた有効モデルから乱雑位相近似の範囲で議論し、超伝導ギャップの対称性と超伝導相図を得た。また、OpenMXを用いて表面の電子状態を調べ表面の作る分子軌道が高温超伝導に重要な役割を担っていることを示した。また、生体分子は多バンド系であることが考えられるので様々な多バンド系の物質に関しても計算結果を多数得た。この計算結果をもとに複雑な様々な生体分子において固体内部・固体表面においてどのような電子状態を実現すれば高温超伝導や他の応用上有用な物性が期待できるかのアナロジーを得ることができた。これらの成果はProceedings ofInternational Conference on Strongly Correlated Electron Systems、Proceedings of International Symposium on Superconductivityに掲載決定している。 また、"様々な生体分子に対して量子多体問題を議論した上で超伝導を議論する"ための予備計算の一環としてWO3ナノチューブの研究をこの系の実験を行っている東京大学工学部の柳田剛・長島一樹グループとの共同研究として行い、基礎物理としてだけでなく、応用研究にも繋がる計算結果を出した。また、WO3表面に関して超電導国際会議(ISS2021)で口頭発表を行った際、WO3と有機の層状ハイブリッド系の実験を行っているニュージーランドMacDiarmid InstituteのJeffery Tallon氏から共同研究の提案を受けて、彼らの作成したWO3(4,4’-bipyridyl)0.5の第一原理計算による国際共同研究がスタートした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度に関してはDNAの電子状態計算に難航し、3種類以上の配列を計算したが超伝導が期待できる配列がまだ見つからなかった。金属化が期待される計算結果を得たが、発表が今年度に間に合わなかった。 しかし、様々な物質に対する量子多体計算の結果をもとに複雑な様々な生体分子において固体内部・固体表面においてどのような電子状態を実現すれば高温超伝導や他の応用上有用な物性が期待できるかのアナロジーを得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
DNAの金属化が期待される計算結果を得たので、今年度中に発表を行う。また、超伝導を実現するために電子状態の配列依存性のみならず、基質や側鎖に対しての化学修飾が施された状態での電子状態の超伝導も検討、議論する。 複雑な生体分子において固体内部・固体表面においてどのような電子状態を実現すれば高温超伝導や他の応用上有用な物性が期待できるかのアナロジーを得るために引き続き様々な物質に対する量子多体計算を行う。
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