2021 Fiscal Year Annual Research Report
大質量比を持つ三種混合冷却原子気体を用いた量子シミュレータの開発
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21J20153
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
水上 尚人 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | エルビウム / リチウム / 冷却原子 / 混合系 / フェッシュバッハ共鳴 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、大質量比を有するエルビウム (Er) 原子とリチウム (Li) 原子の混合系を生成し、これら異種原子間の相互作用の強さを操作できることを実証した。冷却原子の研究分野では本研究で用いたイッテルビウム (Yb) やリチウム (Li) 原子を含め多くの種類の原子がレーザー冷却技術により量子的性質を呈する極低温まで冷却できることが知られている。また特定の原子間では外部磁場により原子間の散乱長が変化することが確認されており、外部磁場を設定することで原子間の相互作用の強さを変化させることができる。一度に冷却される原子の数は数万個にも及び、複数の量子が複雑に絡み合う量子多体系のシミュレーションに最適なプラットフォームである。さらに我々の扱ったような異なる種類の原子の混合系では、それぞれの原子に対して相互作用、原子数密度を変化させられるだけでなく、異種原子間の相互作用をも操作することができ、固体中に不純物を含むような複雑な量子系を、一方の原子を不純物、他方の原子を電子に見立てることで再現することができる。我々は理論的には異種原子間でのフェッシュバッハ共鳴が予想されていたエルビウムーリチウム混合系を実現し、これらの原子間のフェッシュバッハ共鳴を実験的に観測した。またエルビウムーリチウム混合系を生成する際には、3種目の要素としてイッテルビウム原子を冷媒として用いることで、より効率的にエルビウムーリチウム混合系を冷却した。本研究により、不純物問題、p波超流動などの量子多体系の問題を再現するのにエルビウムーリチウム混合系が最適な原子の組み合わせであることが分かった。
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Research Progress Status |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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