2021 Fiscal Year Annual Research Report
ラフィド藻類に由来するハロ酢酸前駆物質の特定に基づいたハロ酢酸の制御手法の開発
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21J23539
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
多田 悠人 京都大学, 地球環境学堂, 助教
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | トリクロロ酢酸 / 消毒副生成物 / ラフィド藻類 / 藻類由来溶存有機物 / 塩素処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
水道水原中で散発的に増殖するラフィド藻類は,消毒副生成物であるハロ酢酸(HAAs)の前駆物質を高濃度で生成するため,水道水中のHAAs濃度上昇の原因となる。この前駆物質は高分子でありながら,極めて高い親水性を有し,通常の急速ろ過プロセスでの制御は困難である。従って,従来の特性解析だけでなくHAAs前駆物質の構造的特徴を解き明かした上で,その制御戦略を策定することが必要であり,これを本研究の最終目的とした。 令和3年度は,まずラフィド藻Gonyostomum semen (G. semen)の培養条件の再検討と,大量培養手法およびHAAs前駆物質の効率的な抽出方法の開発を行った。G. semenの培養には,従来使用されてきたAF-6培地よりも,AF-6培地に含まれる栄養塩を環境水(琵琶湖水)に添加し作成した溶液の方が適していることが分かった。また,培養器を25 mL培養フラスコから300 mL三角フラスコにスケールアップしても同等に培養ができることを確認し,大量培養(20L以上)に成功した。さらに,HAAs前駆物質の抽出方法を以下の4工程に確立した: 1) 超音波による細胞の破砕,2) ろ過による細胞断片の除去,3) 限外ろ過(孔径,3 kDa)による脱塩と濃縮,4) 逆相-陽イオン交換カートリッジによる夾雑物質の除去。 その後,精製した試料を液体クロマトグラム-精密質量計 (LC-Orbitrap/MS)による測定に供し,HAAs前駆物質の構造解明を試みた。その結果,糖とフェノールが結合した複数のフェノール配糖体が検出された。フェノール配糖体の一種であるアルブチンのHAAs生成能は十分に高く,これらがHAAs前駆物質の主要な部分構造として考えられた。
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Research Progress Status |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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